コネクテックジャパンは12月6日、2017年12月13日から15日まで東京ビッグサイトで開催される「SEMICON Japan 2017」の出展を表明するのに併せて、同社の概況や今後の事業戦略などの発表を行った。

今回、SEMICON Japan 2017にて同社が披露するのは以下の5つの世界初の成果。

  1. 10μmピッチのフリップチップボンダ(FCB)技術
  2. PETフィルム基板によるフレキシブルプリント基板の実現
  3. 世界初のMEMS技術による超小型ワイドレンジ圧力センサ
  4. ディスプレイ一体型・透明、世界最大サイズの指紋認証センサ
  5. NextFlexへの参画による「リジッドICチップをフレキシブル基板に搭載」に関する開発事例紹介

半導体パッケージ技術は、従来より有機基板と樹脂封止を用いて製造されてきたが、その役割として、「チップの保護」「機能・性能確保」「放熱性、信頼性の確保」「安全・利便性の確保」といった4つが挙げられる。しかし、小型化に有利とされるBGA系のパッケージングであっても、熱膨張などの技術的な課題からパッドピッチは40μm以下にすることが難しく、チップは小型化されても、パッケージは小型化できない、というジレンマを抱えていた。同社では、印刷技術やセラミック基板を活用することで、そうした課題をクリア。自社のパッケージプロセス「Monster PAC」で今回、10μmピッチを実現することに成功。同社 代表取締役CEOの平田勝則氏も「5/5μmのライン・アンド・スペース(L/S)も出来ることを確認しており、2019年3月にはエンジニアリングサンプルを出したい」と今後の実用化に意欲を見せる。

  • Monster PACの概要

    Monster PACと既存のフリップチップの技術比較 (資料提供:コネクテックジャパン)

また、Monster PACの別の技術の方向性として、150℃以下でなければ壊れてしまうPETやポリウレタン(PU)フィルムにはんだ接合を可能とする「Monster PAC 80℃実装」も実現した。「80℃での実装のめどがついたので、PETへの実装が可能になった」(同)とのことであり、「PETも注目だが、PUまでいければ、透明に出来るため、皮膚の上に載せて血管を観察しながらデータを取得する、といった、新たな使い方も現実味を帯び始める。また、業界的にも日本は強い分野であり、今まで半導体と無縁だった企業にもチャンスが訪れる可能性もある。そうした意味では、幅広いパートナーの募集を行っていきたい」(同)としている。

  • Monster PACの低温化に向けたロードマップ

    2016年に120℃の低温実装が可能になったことで、磁気センサを実装することが可能となった。2017年現在は80℃の実装の実現に向けた開発が進められており、これが実現されるとPETフィルムやPUといったフィルム材料への実装が可能になる (資料提供:コネクテックジャパン)

実装技術の進化は、MEMSの進化にもつながる。今回、同社はフジキンと共同で、カンチレバー方式の2.75mm×3.25mmの小型かつ10Pa~3気圧までのワイドレンジな圧力センサを開発することにも成功したという。今後は、通信回路などを含めた1チップ化を目指していきたいという。

また、こうした技術の応用として、透明なガラス基板の上にイメージセンサを形成することで、ディスプレイ一体型の透明大面積指紋センサの実現にもこぎつけたとする。同技術は、サイズなどに制限はないようで、タブレットサイズから、大型テレビサイズまで適用が可能。そのため、スマートテレビの新たなアプリケーション開発や、ドアに貼り付けることで、どの高さでも指紋認証を可能とするスマートドアといった従来にないアプリの実現にもつながる可能性があるという。

そして同社は2017年7月より、日本企業としては初めてNextFlexへの参画を果たした。同社以外は米国の航空機製造メーカーであったり、化学/電機メーカーであったり、半導体や材料メーカー、大学、研究機関といった顔ぶれであり、はんだ実装では不可能なFHE(Flexible Hybrid Electronics)の実現に、低温実装が可能な技術を有する同社の参画が必要との判断から、同社に対するオファーが出されたそうだ。

なお、同社はMonster PACを実現する工程を集約し、デスクトップサイズに収めた「Monster DTF(デスクトップファクトリ)」の開発も進めている。2016年に第1号機が開発されたが、その際は銀ペースト印刷、NCP(ノンコンタクトペースト、いわゆる絶縁材)、フリップチップの全3工程を0.8m×2.5mのサイズで、3工程を2日で終了させる、というものであった。SEMICON Japan 2017では、サイズを3.5m×1mと大型化し、クラス1を実現したほか、実装能力を月産50万個に引き上げた「MONSTER DTF ver2.0」を紹介する予定としている。

  • Monster DTFの概要

    Monster DTFと従来型の後工程工場の比較 (資料提供:コネクテックジャパン)

このDTF v2については、2018年春に新潟県妙高市の同社本社工場に6ラインを立ち上げ、IoT/IoE用 多品種変量パッケージ開発製造受託ビジネス「OSRDA(Outsourced Semiconductor R&D Assembly)」の強化を図り、事業を拡大。2020年をめどに上場までこぎつけたいとしている。

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  • OSRDAの概要と、コネクテックジャパンの事業ロードマップ (資料提供:コネクテックジャパン)