リコーは、米国市場において脳磁計測システム事業に参入すると発表した。また、その第一弾として、独自開発した脳磁計測システム「RICOH MEG」を2017年12月に米国市場向けに発売するという。

脳磁計測システムは、人体に対して完全に非侵襲で、人の神経活動によって脳から生じるわずかな磁気を計測し、脳内の神経活動の伝達を見える化するもの。人体組織の形状を計測するMRIとは違い、組織の機能を見える化することにより脳の状態を把握するものとして、てんかんの診断などに活用されている。

同社は2014年から生体磁気計測装置の技術開発に取り組んでおり、2016年には横河電機から生体磁気計測装置の一種である脳磁計の事業を継承している。RICOH MEGは、横河電機が培ってきたセンシング技術と、リコーが培った画像技術・システム設計力をはじめ、生産ノウハウなどを組み合わせて新たに開発したものだ。

同システムは、外来ノイズ除去効果に優れ、かつ信号成分の減衰が少ない同軸型グラディオメータータイプの磁気センサを採用しており、脳深部からの微弱な脳磁信号の検出が可能であるという。また、最高サンプリング周波数10kHzでのデータ収録やGUIによる使いやすい収録系ソフトウェアとデータ解析系ソフトウェアを備えている。さらに、設置場所やメンテナンス時の効率にも考慮し、脳磁計測に必要な収録機器を1ラックに収めたコンパクト設計を実現するなど、臨床分野はもちろん、複雑な脳機能の解明、脳科学を用いた応用研究分野など、多くの領域で活用できる。

なお、同システムはすでに米国政府の食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)への登録が完了しているとのこと。同社は発売に先立ち、2017年12月1日から12月5日まで、同システムを米国ワシントンD.C.で開催される「第71回米国てんかん学会」に出展する予定だという。