テクトロニクス社は11月14日(米国時間)、同社の最新世代ミッドレンジ・オシロスコープ「5シリーズ MSO(ミクスド・シグナル・オシロスコープ)」のモニタレスモデルとなる「5シリーズ MSO ロープロファイル(型名:MSO58LP/MSO58LPGSA)」を発表した。

5シリーズ MSO ロープロファイルの外観。非常にシンプルで、複数台を連携させて、トリガで一斉に測定するといった利用方法も可能となっている

同製品は、従来の5シリーズの仕様を基本的に踏襲しながらもモニタレスとすることで、複数台を1つのラックにマウントし、多チャンネルでの計測を容易に行えるようにしたもの。アナログ周波数帯域1GHz、サンプルレート6.25GS/s(全チャンネル)、レコード長125Mポイントといった基本性能を有しており、かつ12ビットADCによる高い垂直分解能が特長で、粒子加速器のような高エネルギー物理学分野での測定容易化などを実現できるようになるという。

5シリーズ MSO ロープロファイルの基本仕様と、利用イメージ。巨大なラックに詰め込むだけ詰め込んで、多チャンネル測定を実行することも、通常のPCモニタを接続して研究室などで、従来のオシロスコープのように利用することも可能

TektronixでVice President & General Manager,Time Domein Business Unit(オシロスコープ事業部)を務めるChistopher Witt(Chris Witt)氏は、「ロープロファイルモデルの開発は、高エネルギー物理の分野からのニーズが大きかった」と説明するが、他業種からも高密度かつ高精度のニーズがあることも認めており、例えば小信号から大信号まで一挙に測定しようと思った際に、12ビットADCを活用することでチャネルを4つに分けて重ねることで1つの信号波形としてノイズ除去などをせずとも、計測することも可能だとのことで、「これまでになかったさまざまな測定ニーズに対応ができるものとなっていく」と説明している。

TektronixのVice President & General ManagerでTime Domein Business Unit、いわゆるオシロスコープ事業部を担当するChris Witt氏

ただ、現在はアナログ周波数帯域1GHz/8 FlexChannelモデルのみの提供であり、それ以外のモデルについては、「ニーズがあれば考えていく」と回答するに留まっており、今後、どのようなラインアップの拡充がなされていくのかは、明らかにされていない。

12ビットの垂直分解能を活用することで、複数のチャネルを組み合わせて非常に広いレンジの信号を一気に測定することも可能

なお、日本での価格は512万円(税別)となっている。