東北電力は23日、再生可能エネルギーの更なる導入拡大に向け、2016年7月より進めていた水素製造に関する研究を行うための「水素製造システム」の設置工事が、今年2月までに主要機器の搬入・据付工事を完了し、試運転等を経てこのたび運転を開始したことを発表した。

水素システムのイメージ(出所:東北電力Webサイト)

水素エネルギーは、省エネルギーやエネルギーセキュリティの向上、環境負荷の低減などの面で重要なエネルギー源として期待されており、国においても水素社会の実現に向けた取り組みが進められている。

同社はこれまで、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、国の実証事業として蓄電池技術を活用した出力変動対策に取り組んでいたが、今回の水素製造に関する研究では蓄電池による対策と同様の効果を期待して実施するもの。同研究では、出力変動の大きい電気を水素製造に使用し吸収することで、水素製造技術が蓄電池と同様に再生可能エネルギーの導入拡大に伴う出力変動対策として適用できるかの可能性を検証していくという。

また、同社の研究開発センター(仙台市青葉区)に、新たに太陽光発電設備と水素製造装置等を設置し、太陽光発電による電気を用いて水素を製造するという。ここで作られた水素は水素吸蔵合金方式の水素貯蔵タンクに貯蔵されたのち、燃料電池により発電し、同センターにて消費する。

なお、同社はこの研究を通じ、水素エネルギーに関する知見を獲得していくという。東北地方においても水素社会実現に向けた取り組みが進められており、同社より研究を通じて得られた知見や成果を提供するなど、地域に寄り添った取り組みも進めていくとのことだ。