イプシロンロケット2号機の打ち上げについては、これまでのレポートで報じたとおり。この最後の記事では、当日の一般見学場の様子についてお伝えしたい。次回の打ち上げ見学を検討する際の参考にしてもらえればと思う。また、打ち上げ直後にプレスに公開された射場の様子についても紹介しておこう。

見学場で見かけた宇宙グッズの数々

イプシロンの打ち上げは、一般の人も見学することが可能だ。今回、肝付町では、宮原(みやばる)ロケット見学場、内之浦漁港、内之浦小学校、岸良海岸の4カ所を一般向けに解放。町によると、合計で6000名ほどが訪れたという。

見学場はさまざまな出店で賑わっており、まさにお祭り状態。ここでしか売っていないものもあり、待ち時間中の買い物も楽しみのひとつだろう。上記4カ所のうち、宮原ロケット見学場は我々プレスが撮影している見学席から近く、徒歩数分で移動することができるので、三脚を立てて場所を確保してから、筆者も出向いてみた。

出店が並ぶ。食べ物や記念グッズなど、さまざまなものを販売していた

奥の駐車場には、見学者を乗せた観光バスが続々と到着していた

イプシロンの刺繍も入ったペットボトルホルダー。手作りで柄もさまざま

イプシロン2号機のTシャツとトートバッグ。ちゃんとダブルアロー入り

製品名に破壊力があったのはこちら。イカシロン……?

名前のとおりイカが入ったソーセージ。美味かったです

強化型イプシロンの1段目タンブラー。液体を入れていいのか?

イプシロン2号機の手ぬぐいも。柄は赤青2種類ずつの合計4種類

「ウチノウラキモツキ共和国」の登録コーナーもあった

こちらが"国民票"。500円で登録するとメールマガジンなどの特典がある

筆者が思わず興奮してしまったのは、コクヨの出店で"あるもの"を見かけたときだ。それはイプシロンのノートである。なんと、2冊分のキャンパスノートが裁断されておらず、2連になっているのだ。

これがそのイプシロンノート。通常のノート2冊分の長さ

もちろんノートとして普通に使える。ただしちょっと長い

この2連ノートは、同社のイベント「コクヨハク」の限定商品として考えられたもの。普通の商品はこのように繋がった状態で作り、それを裁断して販売しているのだが、あえてそのまま売ってみたのだという。従来は普通の表紙であったのに対し、今回初めてロケット版を作成。イプシロンのほか、3連のH-IIA(しかもレアな204型)も用意されていた。

こちらはH-IIAノート。なんと3連! さらに長くて使いにくい

イプシロンもH-IIAも、裏表紙はカットモデルになっている

作ったのは限定各200冊で、次回の販売があるかどうかは未定だという。おそらく欲しい人は多いと思うので、ぜひ再販を期待したいところだ。

今回は有料ツアーのみ、次回はどうなる?

イプシロンを打ち上げる宇宙航空研究開発機構(JAXA)の内之浦宇宙空間観測所は山あいにあるため、射点を直接見ることができるのは前述の4カ所のうち、宮原ロケット見学場だけだ。そのほかの3カ所では、打ち上げの瞬間は見ることができず、上昇を始めたロケットを眺めることになる。

山の中からロケットが飛び出すのは、それはそれで面白いと思うのだが、やはり人気が集中するのは宮原。打ち上げ時にはいつも大混雑になるため、前回の初号機の打ち上げでは駐車場(350台)を事前抽選制にしたものの、緊急車両が通行できないほどの交通渋滞になったとのことで、2号機では、見学方法が大幅に変更された。

宮原見学場からの眺め。射点を直接見ることができる

まず、宮原見学場に入場できる車輌をバスのみに制限。バスは鹿児島県内3カ所(鹿児島中央駅、霧島キャッスルホテル、鹿屋市)の発着で、見学の希望者は旅行会社のツアーに申し込む方式になった。また前回の見学は無料だったのだが、今回は運営協力金として2000円を支払う必要があり、これはツアーの料金に含まれている。

ツアー料金は6500円~5500円。夫婦+子供2人のような場合だと結構な出費になるため、子供料金の設定は欲しかったところだが、筆者としては、有料にしたこと自体は良かったのではないかと考えている。

無料だった前回は申し込みが殺到。かなりの高倍率になり、当選するのは極めて難しかった。今回も申し込み多数のときは抽選が行われる予定だったのだが、ツアーの申し込み人数は約600名だったとのことで、全員が参加できることになった。有料になったおかげで、より確実に見られるようになったわけだ。

打ち上げ時、町は多額の経費をかけて受け入れ態勢を整えており、それを来場者が一部負担するのはおかしなことではない。それに、鹿児島市から鹿屋市まで直行バスで往復3000円ほどかかることを考えれば、ツアー料金は決して高すぎるわけではない。旅費をトータルで計算すれば、安くなるケースもあるだろう。

イプシロンは、「ASNARO-2」を搭載する3号機が2017年度に打ち上げられる予定。3号機の見学方法がどうなるか気になるところだろうが、これについては「今回の結果を踏まえて検討する」(肝付町)とのことで、現時点ではまだ決まっていないそうだ。

なお今回、宮原見学場は新たに整備が行われており、見学エリアは4000平方メートルに拡張。常設のトイレもあって、前回よりも快適に見学することが可能となっていた。今回はここで、ツアー客600名と町内枠500名の合計1100名ほどが見学していたのだが、スペース的にはまだ余裕があった印象だ。

前回(2013年)の宮原見学場。下の駐車場から階段で高台へ上る

今年の様子。かなり広くなり、階段も3カ所に増えていた

こちらは前回。高台の中は狭く、打ち上げ時にはごった返す

一方こちらは今回。明らかに広くなっていることがわかる

打ち上げ後にロケットの射場が公開

初号機に続き、2号機でも、打ち上げ後の射点がプレスに公開された。残念ながら、すでにランチャーは整備棟内に戻された後だったのだが、塗料が焼けたような臭いも残っていて、打ち上げの迫力が伝わってきた。

整備棟が間近に。塗り直したとのことで、前回より綺麗になっていた

ランチャーのブームは見えないが、ロケット側が黒くコゲている

射点の設備は前回とほぼ同じとのことだが、2号機では、ランチャーの空調ダクトをブームの中に格納する改修が行われたという。初号機の打ち上げでは、この外部に出ていた空調ダクトがロケットの燃焼ガスで壊れてしまったのだとか。

イプシロン初号機。ランチャーのブームに、白いダクトが見える

こちらは2号機。見比べると、ダクトが無くなっていることがわかる

打ち上げ時、燃焼ガスを水平に逃がすための煙道。これで音響を軽減

この穴の上にロケットが乗っていた。今は向こうに整備棟が見える

煙道側(右)には耐火セメントが融けた後が。炎は3000℃にもなるとか

煙道の先には、さまざまな欠片が散らばっていた。持ってみたら非常に軽い

ランチャーの下にあるレール。これを使ってランチャーは旋回する

整備棟の横にあったのは空調設備。前回は空調車だったが、固定式に

最後に、肝付町役場の内之浦総合支所にあったイプシロンコーナーについても紹介しておきたい。この展示は終了時期は未定なものの、当面は継続される見込みだという。強化型イプシロン塗装の柱とか、記念撮影に良さそうなスポットであるので、機会があればぜひ訪れてみて欲しい。

肝付町役場の内之浦総合支所。この中にイプシロンコーナーがある

イプシロン試験機(初号機)と強化型イプシロン(2号機)の比較

ちょっとした休憩スペースも。衛星の説明用パネルが展示されていた

面白かったのがこの柱。本物よりはかなり細いが、塗装が強化型

イプシロンロケット2号機打ち上げの現地取材記事

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