金沢工業大学(金沢工大)は7月28日、シーラカンスの胸ビレから人間の腕の筋肉の原型を発見したと発表した。

同成果は、金沢工業大学ロボティクス学科の佐藤隆一教授、慶応義塾大学、京都大学、ふくしま海洋科学館(アクアマリンふくしま)らの研究グループによるもので、7月22日付の米国科学誌「Anatomical Record」オンライン版に掲載された。

シーラカンスは、計10枚のヒレのうち尾ビレなどの4枚はバランスをとるためほとんど動かさず、胸ビレや腹ビレなどの6枚を、タイミングをずらしながら一定のリズムで動かして泳いでいることが知られている。佐藤教授らは過去に、これらの6枚のヒレに、陸上生物の特徴である拮抗二関節筋が備わっていることを明らかにしていた。また、このような生物の機構と制御論理を応用することで運動性能を向上させた水陸空のロボット開発を進めている。

同研究グループは今回、人間の腕にある一関節筋と二関節筋という筋肉の原型をシーラカンスにおいて発見した。両筋肉はお互いに補助しあうことで、腕の伸び縮みや方向性を制御していている。今回の発見により、原始的な肉鰭魚類において、すでにこのような筋肉が備わっていた可能性が高まったといえる。

同研究グループは今後、原生する肉鰭魚類であるシーラカンスの研究を深めることで、四肢動物の形や動きがどのように進化してきたかについて、さらなる手がかりが得られる可能性があるとしている。

佐藤研究室が2013年に製作したシーラカンスロボット