富士通、オリックス、増田採種場、静岡県磐田市の4者は3月26日、農業を基点とした地方創生の実現に向けて、磐田市におけるスマート・アグリカルチャー事業(磐田スマートアグリカルチャー事業)の立ち上げに向けた検討の開始で基本合意したと発表した。

同事業は事業主体となる3社に加え、高度な専門性を持つ種苗会社、高い栽培技術を持つ農業生産者、マーケット感度の高い流通・食品加工会社、自治体、学術機関、農業機械・資材メーカーなど、業種・業態を越えた企業・団体の知見を融合させ、食・農全体のバリューチェーン(種苗~生産~加工・出荷~販売など)を俯瞰した新たなビジネスモデルの共創を図るという。

同事業を通じて地域の「強い農業づくり」を実現し、さらには新たな地域基幹産業の創造、地域のブランド化による地方創生への寄与を目指すとしている。

スマート・アグリカルチャー事業の概念図

同事業ではまず、生産・加工事業として、マーケット・イン型の農業生産事業を実現するため、開発プロセスおよびマーケティング・プロセスにおいて、種苗・栽培技術・流通を適切に融合した事業モデルを実現するという。開発の起点である種苗会社および農業生産者に、流通企業の考え方をタイムリーに取り込むビジネスモデルを創造する意向だ。

具体的には、ICTやテクノロジーを利用した高度な環境制御を施した栽培施設を使用し、季節や天候、場所に影響されず、安定的な大規模・効率生産を行うという。

将来的には加工プロセスを付加し、実需者のオーダーに幅広く対応可能な体制を整備し、生産~加工・出荷~販売のバリューチェーンの構築を目指す。

インフラ・アウトソーシング事業では、同事業で構築した「高度な環境制御を施した種苗・栽培施設」「効率的なオペレーション」「堅牢なセキュリティを施したデータ・マネジメント」といった仕組みを自社の事業インフラとしての利用に加えて、種苗会社や農業生産者に提供していく。

種苗ライセンス事業では、種苗会社/生産者/流通・食品加工会社が有機的に一体化するビジネスモデルを構築し、これまで埋もれていた品種の高付加価値化を実現するという。さらに、そこで生まれたさまざまなナレッジや技術を権利化し、農業における新たなライセンス・ビジネスへ進化させていくとのこと。

また、同事業が永続的に地域に貢献するために、雇用の創造・地域人材の育成にも取り組んでいく。

雇用においては、多様な働き方や人材を活かせる農業におけるダイバーシティの実現を創造し、人材育成においては、地域の学術機関や農業における先進的な知見者との連携により、将来に渡って地域農業の中核となる人材の育成に努めるという。

同事業の2015年度下期からの事業開始に向けて、4月1日に「磐田スマートアグリカルチャー事業準備株式会社」を設立する予定だ。

2015年度上期中に富士通、オリックス、増田採種場の3社と新会社が事業環境の整備および実行準備を行い、詳細実行計画を合意の上、準備会社の増資(合弁会社化)および事業会社への位置付け変更を行うという。さらにこの事業会社が、2015年度下期から事業を開始する。