【 経済産業省 】南鳥島沖にレアアース 試験採取成功も商用化に課題

政府は、日本の最東端にある南鳥島(東京都小笠原村)周辺の海底に眠る重要鉱物の採掘に挑んでいる。今年2月には、水深6千メートルにあるレアアース(希土類)を含む泥の試験採取に成功した。2028年以降の商用化を目指すが、経済安全保障上の重要性と採算性とのバランスをいかに取るかが課題となる。

 南鳥島近海の海底には、これまでに電気自動車(EV)用の電池材料となるコバルトやマンガンを含む「コバルトリッチクラスト」や「マンガン団塊」を確認。EVに使われる高性能モーターや風力発電機に必要なネオジムやジスプロシウムといった希少で高価な重希土類を含んだ「レアアース泥」の存在も判明し、政府主導で開発を進めている。

 レアアース市場は中国が過剰に生産することで牙城を築き、現在は生産で約6割、精錬になると約9割の市場シェアを握る。日本は一部の企業や団体が名指しで輸出停止措置を受けており、いつ全面停止になるか分からない状況。経済安保の観点から政府は技術開発を急ぎ、1千億円超の予算を投じるが、事業化に向けては「べらぼうに金がかかる」(経済官庁幹部)との声がある。

「世界初の挑戦をするため、年数をかけて技術開発を進めてきた」。内閣府でレアアース泥の開発を率いる石井正一氏はこう説明し、18年から長さ約10㍍のパイプ約600本をつなぎ合わせながら海底に伸ばすための技術を設計した。採掘では、海洋石油開発の技術を応用し、海底に堆積する粘度が高い泥を先端の採鉱機で閉じ込めつつ、海水と混ぜてほぐしながら吸い上げる「封鎖型泥水循環方式」を開発した。

 石井氏は「26年の実証では採鉱機が海底に着地するまでひやひやしたが、成功し、ひと安心だ」と胸をなで下ろす。27年には1日350トンの泥の採掘に挑戦し、その際に、レアアース回収の採算性を評価する。

 経済産業省などは、採算ラインを1日3500トンと見込む。南鳥島で建設予定の泥の脱水施設や新たな船舶も建造する必要があり、事業化に向けては数千億円規模のコストがかかるとみられるが、小野田紀美経済安保担当相は「国家を守るための視点を持った行動をするべき」と高コストを許容する構えだ。

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