富士通は、食・農クラウド「Akisai(アキサイ、日本語通称:秋彩)」を活用した完全閉鎖型植物工場「会津若松Akisaiやさい工場」を、産官学の人材、技術が交流し、農商工医ならびに教育分野との連携により新たな価値を創造するオープンイノベーション拠点として強化していくと発表した。

「会津若松Akisaiやさい工場」

主な取り組みは、「産学連携による機能性野菜の開発と市場の創造」、「ICTソリューションによる新たなスマート農業の開拓」、「未来の農業について考える授業を通じた次世代育成支援 」。

産学連携では、秋田県立大学と新たな低カリウム野菜を開発するための共同研究を8月1日より開始。栽培方法を研究し実用化するほか、福島県立医科大学とは、透析患者における低カリウムリーフレタスの有用性について臨床試験を共同で実施した。その結果をもとに、両者は、腎臓病医学の見地から各種学会で発表を行ったり、全国各地の腎友会の場において説明を行ったりなど、低カリウム野菜の市場の創造に取り組む。

ICTソリューションによる新たなスマート農業の開拓では、環境情報、経営情報を集約し、経営者層やマネジメント層に事業運営上の重要指標の変化を見せることで、経営判断を促すソリューション「環境経営ダッシュボード」を10月より導入し、「会津若松Akisaiやさい工場」における生産や経営の全体最適化を目指す。また、農作物の生産マネジメントシステムであるJGAPの導入・運用を支援する「智のWA!(ちえのわ) JGAP指導支援ツール」を10月より導入し、さらなる食の安全確保、野菜の品質向上を目指す。さらに、植物工場での生育管理に適している「食・農クラウド Akisai生育管理システム agis」を10月より導入し、これまでの生育管理機能の刷新と、播種から収穫までの流れを効率的に管理することで、作業品質の向上を目指す。

そして、未来の農業について考える授業を通じた次世代育成支援では、「会津若松Akisaiやさい工場」の見学を通して未来の農業のあり方を学び、考えるカリキュラム『「会津若松Akisaiやさい工場」で学ぶ新しい農業』を開発。富士通グループ社員が講師となり、小学校5年生を対象に授業を行う。今後、関係機関との連携を図りながら福島県内を中心に本授業を展開し、次世代の育成に貢献していくという。