筑波大学は11月29日に記者発表会を開催し、バナナを定期的に食べることでスギ花粉症を部分的に改善できるという研究結果を発表した。

登壇した筑波大学 医学医療系 谷中昭典教授

筑波大学 医学医療系 谷中昭典教授らの研究チームは、2010年にマウスを使った実験で、バナナを摂取したマウスは摂取していないマウスに比べてアレルギーを引き起こす原因となる「IgE抗体」の値が低下したことなどを確認。

今回の実験は、比較的軽症のスギ花粉症の患者52人を2グループに分け、一方はバナナ2 本(200g)を8週間毎日食べ、もう一方は同期間バナナを食べることを禁止した。どちらのグループも期間内に合計3回の問診と採血を行い、くしゃみ、鼻水、目のかゆみといった自覚症状を数値化した「QOLスコア」、「IgE抗体」、「血中好酸球数」などの変化を調査した。

実験の結果、血中好酸球数やIgE抗体に関しては大きな変化はなかったが、バナナを食べたグループは食べていないグループに比べてQOLスコアが低下したという。特に35歳以下の男性への効果が顕著に現れたほか、IgE抗体の値が低いヒトが食べた場合もくしゃみを抑制できるといった効果を得られたという。

谷中教授は「バナナにはビタミンB6がほかの食材より多く含まれており、ビタミンB6はセロトニンなどの脳内伝達物質の合成を促進させる。セロトニンは脳内の抑うつ気分を改善させる効果があり、これが花粉症の改善に影響している」と分析する。

なお、同研究は日本バナナ輸入組合からの受託研究として谷中教授らの研究グループが実施。12月7日、8日に開催される「第11回日本機能性食品医用学会総会」で成果を発表する予定だという。