IDC Japanは6月5日、国内産業分野別IT市場における2012年下半期の分析と2013年から2017年の市場規模予測を発表した。

国内IT市場 主要産業の前年比成長率の推移予測(2012年から2015年) 資料:IDC Japan

調査によると、2013年は新政府の景気刺激策によって国内経済拡大への好機が高まり、多くの企業でIT支出の抑制が解け始めるため、通信/メディア、消費者以外の全産業(官公庁、教育含む)のIT支出はプラス成長とみている。組立製造(前年比成長率1.6%、市場規模1兆3,848億円)、プロセス製造(同2.1%、7,410億円)といった製造業では、円安の影響により輸出が大きい企業で業績が回復し、IT支出において堅調な成長を示すとみている。

情報サービス業(同3.0%、7,743億円)は、震災を契機とした需要の拡大が継続することでデータセンターの新設/拡充が進み、またスマートフォンやタブレット&eReaderの市場拡大の影響でインターネットビジネス向けインフラの拡充が進みIT支出が伸びるとみている。

一方、通信/メディア(同マイナス5.1%、市場規模1兆9,933億円)は、通信事業者におけるLTEサービス向けの無線インフラストラクチャの整備が2012年に前倒しされたため、2012年がピークで2013年はマイナス成長となっている。また、消費者(同マイナス2.6%、2兆4,968億円)はスマートフォンのブームの一巡などにより成長が鈍化。これらの影響で、国内IT市場全体の前年比成長率はマイナス0.1%(2013年市場規模13兆8,771億円)と予測。また2012年から2017年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は0.1%、2017年のIT市場規模を13兆9,525億円と予測している。

「ITベンダーは、4要素をソリューションメニューに揃えるだけでなく、要素間の連動までを含めたコンサルテーションとサポートまでの融合したメニューを備えるべきである。さらには、産業分野別のIT課題を解決するソリューションを持つことが競争に打ち勝つために必須である」とIDC Japan ITスペンディング シニアマーケットアナリストの福田 馨氏は分析している。