ARMは、今後2年間に5億8000万台の出荷が予想されるミッドレンジのモバイル機器に最適化したIPソリューションを発表した。

2015年以降、ミッドレンジのモバイル機器の出荷台数は、高級スマートフォン/タブレットを上回ると予想されている。今回発表された新IPスイートは、ミッドレンジ市場をターゲットとして消費電力、性能、ダイサイズを最適化したもので、これらのIPを併用すれば、仮想化、big.LITTLE処理、GPUコンピュートなどの高度な機能をミッドレンジの価格で実現できるという。

スイートには、ARM Cortex-AプロセッサとARM Mali-T GPUのシリーズの最新製品であるCortex-A12プロセッサ、Mali-T622 GPUの他、新しいビデオIPのMali-V500が含まれている。また、ARM POPテクノロジーとARM Development Studio 5(DS-5)ツールチェーンのサポートを生かし、スマートフォンやタブレットの効率性向上と製品化期間の短縮を実現できる。ARMでは、2014年半ばまでに同IPソリューションがモバイル機器に搭載されると見込んでいるという。

ARM big.LITTLE処理は、現在、ハイエンド機器のみに搭載されているが、これをミッドレンジのスマートフォンに組み込むことができる。Cortex-A12プロセッサにより、Cortex-A9と同じ消費電力で性能を40%向上させることが可能など、スタンドアロンのソリューションとしてクラス最高の効率性を有している。

Mali-T622 GPUは、OpenGL ES 3.0に対応し、RenderscriptおよびOpenCL APIをサポートする世界最小のフルプロファイルGPUコンピュートソリューション。現在は、ハイエンドのスマートフォンやタブレットに搭載されているが、この高度なビジュアル機能をミッドレンジの機器に導入する。第1世代のMali-T600シリーズに比べ、エネルギー効率は50%優れているという。

Mali-V500はビデオ専用ソリューションとしてシステム帯域幅の要件を現行ソリューションの50%以下に削減する。1080p/60のエンコード/デコードに対応するシングルコアから、120フレーム/秒で4K解像度に対応するマルチコアにまで拡張可能。さらに、TrustZoneセキュリティテクノロジーをサポートすることにより、映画やテレビ番組のダウンロードから表示までをハードウェアを使用した効率的なセキュリティ機能で保護する。

また、ARM POP IPは、最先端の28nmファウンドリプロセスをサポート。Cortex-A12プロセッサとMali-T622 GPUに最良の設計ポイントと最短の製品化期間を提供する。ArtisanフィジカルIPを搭載する他、Cortex-A12プロセッサ、Mali-T622 GPU、CoreLink CCI-400キャッシュコヒーレントインタコネクトをベースとするシステム用のソフトウェアを開発および最適化するためのARM DS-5ツールチェーンを有する。さらに、ARM Fast Modelsシミュレーションライブラリの追加により、DS-5ツールチェーンは、早期のソフトウェア開発とシステム全体にわたる性能/消費電力を最適化できる。