日本マイクロソフトは11月15日、組み込み向けOS「Windows Embedded 8」ならびに「Windows Embedded Compact 2013」のロードマップを発表したほか、Windows Embedded 8 StandardのCTP(Community Tech Preview)版の提供を開始したことを発表した。

従来のWindows Embeddedファミリのラインアップは、一般的な組込機器向けの「Windows Embedded Standard 7」、一般的なPC向けWindowsと同等の機能を有する「Windows Embedded Enterprise」、そして小売業界向けに最適化された「Windows Embedded POSReady 7」という形であったが、Windows 8ベースのWindows Embedded 8ファミリでは、Standardはそのままのバージョンアップという形で「Windows Embedded 8 Standard」となるが、Enterpriseは「Windows Embedded 8 Pro」へと、POSReadyは「Windows Embedded 8 Industry」へとそれぞれ名称が変更される。

Windows Embeddedファミリも8ベースへと変更される

各バージョンは、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを含むインテリジェントシステムの構成要素となる独自の機能セットを備えており、これによりデバイスとIDの管理機能やコネクテッドデバイスの提供が実現されるほか、リッチなタッチ対応、セキュリティ、データ分析機能などが提供されるという。

Windows Embedded 8 Standardの特長

一方のWindows Embedded Compact 2013は、Windows Embedded Compact 7の後継で、従来のWindows CEの系譜に連なるもの。Windows 8ベースのWindows Embedded 8ファミリとは異なるアーキテクチャであるため、その違いを理解してもらうために、敢えて「8」のナンバリングとは異なるナンバリングにしたという。

提供スケジュールとしては、すでにWindows Embedded 8 StandardのCTPが提供されているが、2013年に入ると1月にWindows Embedded 8 IndustryのCTP版が提供される予定のほか、StandardとProの一般提供が3月にそれぞれ予定されている。また、2013年第2四半期のどこかのタイミングでWindows Embedded Compact 2013の発表が予定されているという。このほか、2013年1月にはWindows Embedded Handheldのロードマップが公開される予定だという。

Windows Embedded 8ファミリの2013年第2四半期までの製品提供スケジュール

Microsoft Marketing Director,Windows Embedded,Asia Pacific,Greater China and JapanのJohn Boladian氏

Windows Embedded 8ファミリについて、Microsoft Marketing Director,Windows Embedded,Asia Pacific,Greater China and JapanのJohn Boladian氏は、「ビッグデータの活用が各産業分野で進められてきている。センサなどから得られる生のデータそのものに価値はない。それを解析して、活用できるようにすることで初めて価値がでてくる。これは、組込機器でも同じで、クラウドとの接続が重要になっている。我々は、その適応技術を組み込み分野に向けて提供する用意がある」とコメントしており、Windows Embedded 8ファミリとEmbedded Compact 2013の活用により、ネットワークに接続されるのが当たり前な時代の組込機器のサポートを推し進めていくことを強調した。

組込機器の出荷台数はスマートフォンやPCよりも多く、今後、これがさらに加速することとなる。WindowsはPC向けもEmbeddedも同じアプリケーションを動作させることが容易であり、組込機器のネットワーク対応が進む今後、開発を1つのプラットフォームだけでできることは、開発期間の短期化やデバッグの簡素化、UI/UXの理解促進など、さまざまな面でメリットとなるというのが同社の主張するところとなっている