産業技術総合研究所(産総研)とサッポロビールは、マウスを使って、乳酸菌にストレス性の睡眠障害を改善する効果があることを発見したと発表した。成果は、産総研 バイオメディカル研究部門 生物時計研究グループとサッポロビールの研究者らによるもの。

今回の研究では、サッポロビールが保有する植物性の「SBL88乳酸菌」を0.5%混和したエサをマウスに4週間摂取させた後、睡眠障害を誘発するストレス負荷を2週間続け、回転輪でのマウスの活動量が測定された。

その結果、ストレスにより睡眠障害を引き起こしたマウスは、睡眠時間帯(昼)に寝つきが悪く、睡眠不足に陥る影響で活動時間帯(夜)に活動量が低下してしまうのに対し、「SBL88乳酸菌」入りの餌を摂取したマウスでは、活動時間帯の活動量の低下が抑制されていることが判明したのである(画像1)。

また、SBL88乳酸菌を摂取したマウスでは、睡眠障害により発現が上昇する「睡眠障害マーカー遺伝子」の発現が抑制され、遺伝子レベルでも「SBL88乳酸菌」に睡眠障害を改善する効果があることがわかった(画像2)。

画像1。SBL88乳酸菌による睡眠障害改善効果(行動パターン)

画像2。SBL88乳酸菌による睡眠障害改善効果(遺伝子の発現解析)

睡眠障害は、社会の24時間化に伴う生活リズムの乱れやストレスが原因となって引き起こされ、睡眠時間の減少のほか、睡眠の質の低下、活動時間帯における疲労感や倦怠感など、その症状は多岐にわたり、現代社会の大きな問題となっている。

このような睡眠障害を改善するためには通常、薬剤が用いられるが、その催眠作用により昼夜ともに眠気を催してしまう(活動時間帯でも眠くなってしまう)場合があることが知られている。

共同研究グループは、マウスで行った今回の実験から、普段の食生活で摂取可能な「SBL88乳酸菌」が、睡眠の質を向上させ、活動期における活動量の改善に効果を及ぼすのではないかと考え、今後は、乳酸菌のヒトにおける睡眠障害改善効果についての研究を実施していく予定とした。