国立天文台(NAOJ)は、太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)が2011年1月4日に起きた日食を観測したことを発表した。

金環日食時の画像と、近い時間に別に撮影した太陽コロナ(外側の大気)の画像の合成画像(出所:国立天文台)

ひのでは、日本で3番目の太陽観測用衛星で2006年9月23日に打ち上げられた。口径50cmの可視光磁場望遠鏡(SOT)、X線望遠鏡(XRT)、極端紫外線撮像分光装置(EIS)の3つの望遠鏡を用いて、約6000℃の太陽表面(光球)から、数100万℃以上の外層大気(コロナ)までの領域にかけて、磁場・温度・プラズマの流れの観測を行っている。

今回の日食は、地上から見ると部分日食としてヨーロッパ、アフリカ北部、中央アジア地域で見ることができたが、ひのでは地上680kmを周回しており、金環日食帯がその軌道に入っていたこともあり、金環日食として観測することに成功した。なお、ひのでは今回の日食のほか、2007年3月19日の皆既日食などの観測も行っている。

月の影と「ひので」の軌道予報計算(出所:国立天文台/相馬充氏)

金環日食の間、ひのでは合計3回月の影に入り、2回目の18時8分から18時23分(日本時間)に北極付近の上空で金環日食を観測した(1回目と3回目は部分日食)。

上下段ともにX線望遠鏡による全面画像(下段は分かりやすいように着色したもの)。左から、開始から2分後 (日本時間18時10分)、金環日食 (日本時間18時16分)、終了2分前 (日本時間18時21分)の順となっている(出所:国立天文台)

動画
X線望遠鏡による全面画像の動画。白黒版(wmv形式 2.12MB 6秒)
X線望遠鏡による全面画像の動画。カラー(着色)版(wmv形式 2.12MB 6秒)

SOTを用いて金環日食になる前の周回(1回目の日食)で観測した画像。左がSOT視野に月の影が入り始めたころ(16時46分38秒 日本時間)、右がSOT視野に月の影が最大になったころ(16時47分58秒 日本時間)(出所:国立天文台)

動画
可視光・磁場望遠鏡(SOT)による拡大画像の動画(wmv形式 1.05MB 3秒)