「ETロボコン」ってナンダ!?

ロボットコンテスト=「ロボコン」という言葉もすっかり市民権を得て、赤いド根性ロボット以上に浸透した感がある。小さなものも含めれば、今や日本では一年中どこかしらで何かしらのロボコンが行われている勢いだが、さて「ETロボコン」という全国規模の大会が毎年開催されているのはご存知だろうか? と書いている筆者も実は今回取材するまで知らなかったのだが(苦笑)、この大会、正式名称は「ETソフトウェアロボットデザインコンテスト」と言う。ETは"Embeded Technology"の略で、自動車や家電など日本の産業を支えている「組み込み技術」を意味する。

"ETロボコン"は、この組み込みソフトウェア分野における技術教育を目的としたイベントで、同一のハードウェア(走行体)のもとに、UML(Unified Modeling Language = 統一モデリング言語)などで分析・設計したソフトウェアの技術を競うというもの。

"ETロボコン"競技大会(東京予選)の会場風景

2002年にOMGジャパン(現 オブジェクトテクノロジー研究所)の主催で「UMLロボットコンテスト」として20チームほどの参加で始まり、2005年から組込技術をフィーチャーして"ETロボコン"に名称変更。企業エンジニアを中心に高校・大学や個人も参加するオープン型のロボットコンテストとして、現在では全国で300チーム以上が参加、様々な企業・団体との連携協力により開催される大イベントなのだ。

他の多くのロボコンがハードウェア志向なのに対し、あくまでソフトウェアの優劣を競う大会なのが特徴。そのためハードウェアはワンメイクで、レゴブロックのロボットキット「教育用レゴ マインドストーム」が採用されている。

今年から採用された「マインドストーム NXT」の二輪走行体による競技

「マインドストーム RCX」の四輪走行体による競技ではコースを2周する

本部配布の組立手順に従った規定のライントレース走行体を使用し、バッテリも規定のもの(今年はパナソニックの「EVOLTA」)が使用される。昨年までは初期バージョンの「マインドストーム RCX」の四輪走行体が使用されてきたが、今年は現行バージョンの「マインドストーム NXT」による倒立振子型の二輪走行体(「NXTway-ET」と呼ばれる組み方)が登場し両部門を実施。来年からは完全移行して後者に一本化される予定だ。

"マインドストーム RCX"と"同 NXT"、各走行体の実機と大会での説明

トラックにはインコースとアウトコースで2本のラインが引かれ、2体同時に出走する

"ツインループ"や"トレジャーハント"など、各所にボーナスタイムを得られる"難所"も設けられている

フィールド上には各地区の名産品やスタッフの趣味の品(?)など、趣向を凝らしたランドマークも

審査に関しても「ロボット走行性能(タイムレース)」と「ロボット走行システムのソフトウェア設計モデル評価」という、2つの側面から行われる。要は、大会本番での走行タイムだけでなく、事前に提出したモデル(設計図)も審査の対象になるという訳。この辺りもソフトウェア技術者を対象とした大会ならではの特徴だ。

モデル(設計図)も審査対象で、大会の会場でも公開される

今年は、北海道・東北(盛岡)、北関東(群馬)、東京(東京)、南関東(神奈川)、東海(浜松)、関西(京都)、九州(福岡)の7地区大会を実施。やはり関東圏からの参加チームが特に多いため、昨年までの東京大会の参加地区を3つに分け、今年から北関東大会、南関東大会も行われることになったそうだ。

各地区大会から優秀チームが選抜され、言わば全国決勝大会である「チャンピオンシップ大会」も開催。こちらは、11月18日(水)・19日(木)にパシフィコ横浜で行われる「組込み総合技術展 Embeded Technology 2009」の併設イベントとして実施される。