Apotheker氏は次に、SMBに話を移した。「SMBはビジネスネットワークの参加をもっとも必要としているセクター」とApotheker氏。SAPはここ数年、SMB分野を強化し、あらゆる規模の企業に対応する製品を揃えるようになった。大規模企業向けのBusiness Suiteのほか、中規模企業向けの「SAP Business All-in-One」、SaaSの「SAP Business ByDesign」、小規模企業向け「SAP BusinessOne」と、機能やスコープは違っても、土台技術や主要な機能の多くを共通化しているため、バーティカルなインテグレーションが可能だ。これは、SAPの大きな差別化となる。SMBも自社に最適なSAP製品を利用しながら、ビジネスネットワークに参加できる。
Apotheker氏はBusiness SuiteとBusiness All-in-Oneをそれぞれ導入している2社が、SCMにおける透明性を得たことで、フォーキャストベースではなく顧客の需要ベースでサプライチェーンを管理できるようになったというデモを披露した。売り上げ目標に達していないのは、フォーキャストが正確ではなかったため。ビジネスネットワークを視覚的に表示し、ドリルダウンしていくことで、ビジネスネットワークでなにが起こっているのかを把握できる。顧客のデータを基にサプライヤに見積もりを提出、サプライヤ側のBusiness All-in-Oneに即座に反応され、商機を逃すことなく供給できた。「ビジネスネットワークを使って、ビジネスのやり方を変えることができる」とApotheker氏。
ビジネスネットワークが高い効果を生むには、洞察が必要だ。そこで、SAPは今年1月、BIベンダのBusiness Objectsを獲得した。Business ObjectsのBIは、信頼性が高く、データ中立であるため、異機種混合環境でも利用できる。SAPのビジネスプロセスプラットフォームとBusiness Objectsを組み合わせることで、投資効果を高められ、ビジネスプロセスの実行(事業執行)と戦略の間のギャップを埋めることができるという。