もはや人海戦術は通用しない時代に

とは言え、組み込みデータベースは採用が活発になり始めたばかりであり、本格的な普及はこれからです。それでは、現在この膨大なデータはどのように扱われているのでしょうか。

高機能化に伴ってアプリケーション開発もますます高度化し、そして複雑化しています(図5)。アプリケーション開発には、必要なデータ操作ロジック作成まで含まれています。しかも、ほかのアプリケーションとの関係性やデータの整合性のチェックまで含めてです。

【図5】組み込み製品のソフトウェア開発におけるプログラムコードの行数
※出展:2006年版組込みソフトウェア産業実態調査報告書

その結果、アプリケーション開発規模は拡大の一途をたどり、既に1,000万行を超えるプロジェクトが出てきました。プロジェクトの平均も10万行に近付きつつあり、開発規模の拡大路線は収まりそうにありません(図5)。その反面、これだけの規模の開発を行うための人員は慢性的に不足しています(図6)。刻一刻と変化する市場ニーズにも対応しなければなりません。そのため、製品ライフサイクルや開発サイクルはますます短くなり、開発負荷は増す一方です。すなわち、いかにして「品質を保ちつつ」「コストを抑えて」「効率的に」開発できるかが今、大きな課題となっているのです。

【図6】プロジェクトの遂行に与える環境要因
この図から、組み込みソフトウェア開発の現場では、人員が不足しているということが分かる
※出展:2006年版組込みソフトウェア産業実態調査報告書