Summitはどのように活用されるのか?
Summitがどのように使われるかであるが、次の図は、SummitのAI性能を使う4つの研究の例を示している。
第1は次世代の材料(マテリアル)を見つける研究で、AIに材料の性質を学習させて効率的に新材料の候補を見つけ出す。第二は核融合炉の中のプラズマの振る舞いをAIに学習させ、新しい構造でプラズマの振る舞いがどうなるかを予測する。三番目は加速器で得られる大量のデータから重要なデータを見つけ出すという研究である。AIで効率的に粒子衝突データをフィルタすることにより、より効率的に重要なデータが見つけられる。四番目はがんの画像診断である。AIの学習で診断や治療を改善する研究である。
2019年のINCITEプログラムでは、米国で最も強力で生産性が高く、性能の高いSummitスパコンを利用することができる。2018年の4月16日から6月22日の期間にどのような研究を行うかのプロポーザルの提出を受け付ける。プロポーザルは、インパクトが大きいテーマで、大量の計算やデータ処理を行うものであり、Summitのユニークなアーキテクチャをうまく利用するものであって他のスパコンセンターでは実施できないものでなければならない。
しかし、研究分野は、広範囲の科学技術やコンピュータサイエンスのどれであっても良い。
最初のExascaleのアプリケーションとして紹介されたCoMetというプログラムは、遺伝子の類似性を比較するプログラムである。このプログラムをSummitの計算ノードのVolta GPUのTensorCoreとcuBLASの使用で、これまでの最高性能のプログラムの4.5倍のスピードを実現した。これはTitanでの実装の25倍のスピードであるという。左下のグラフに見られるように、4000ノードまでの範囲で、ほぼ理想的なスケーリングが得られており、4000ノードで1.88ExaOpsの性能を実現した。このプログラムで、オピオイド中毒がターゲットの遺伝子の近傍にある遺伝子の影響を受けることを明らかにしたという。この計算の論文は11月のGordon Bell賞の候補論文に応募したとのことである。
まとめとして、Jack Wells氏は、米国のエネルギー省科学局はExascaleコンピューティングのエコシステムの統合的なビジョンを進歩させている。また、ORNLはTitanで、ハイブリッド型のアクセラレータを使うスパコンの利用を成功させ、その成功の上に、Summitを設置してアクセラレータ付きのスパコンの利用を進歩させている。
ユーザの要望の調査から、バンド幅の強化が一番強い要望であることが判明し、Summitではこれを実現するハードウェアを作り上げた。IBMとOpenPOWERパートナーはシミュレーション、データ解析、マシンラーニングアプリケーションの性能を高める高バンド幅の新しいハードウェアを開発してくれた。Summitの初期のユーザは、これらの高バンド幅テクノロジの恩恵を経験しつつある。と述べて講演を締めくくった。