NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が10月20日から22日にかけて開催したバーチャルイベント「NTT Communications Digital Forum 2021」では、「社会・産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)」をテーマに、DXの先進事例や最新トレンド、同社とパートナー企業との協業事例の展示などが行われた。

特別セッション「次世代ネットワークが支える セブン-イレブンのDX構想」では、セブン-イレブン・ジャパン システム本部 執行役員 システム本部長の西村 出氏が登壇し、同社のDX構想が語られた。講演の様子をレポートする。

同社では、全国2万1215店舗から得られるビッグデータを新たな価値創出に生かす、データドリブンな店舗運営を目指している。そのうえで、ビジネスの拡大・伸張のための「攻めのDX」と消費者や加盟店の安心・安全を守るための「守りのDX」という観点で、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を進める。

  • セブンイレブン ジャパン システム本部 執行役員 システム本部長 西村 出氏

攻めのDXにおいて、同社はこれまでデータ活用基盤の構築に注力してきた。全社のデータ戦略の要となるのが、2020年9月より稼働しているデータ収集・分析基盤「セブン CENTRAL」を中核とした「次世代デジタル基盤」だ。同基盤では、POSデータをはじめ、本部の基幹システムやSalesforceで管理する他データをクラウド上で一元管理しており、店舗オーナー向けのBIツールや本部社員のタブレット端末、消費者が使用するアプリなどと1分程度でデータ連携が可能だ。

本部と現場をつなぐ「SEJ業務DX基盤」では、紙や会話でやりとりしていた店舗運営にまつわる情報をデータ化してプラットフォームに集約している。来店客の声や加盟店のカウンセリング内容、商品・品質の管理状況、研修支援、フランチャイズオーナーとの契約内容やこれまでの歴史などを「店舗カルテ360View」としてまとめており、加盟店支援に役立てている。

このほか、加盟店支援向けには、災害対策システム「セブンVIEW」をベースに、災害情報などを地図上に可視化する「次世代GIS(地理情報システム)基盤」も活用している。

また、社内拠点間や社外のパートナーとデータをセキュアに共有するための「情報管理基盤」も構築し、PDFや画像、音声、動画といった構造化していないデータも含めて一括管理している。

さまざまなデータ基盤が揃ったところで、現在、セブンイレブン ジャパンでは店舗運営に関する情報が1つのデバイスで閲覧・使用できるツールの開発を進めている。西村氏は、「従来の業務はアナログ、属人的なナレッジに頼ることが多かった。各種データ基盤とDXツールを掛け合わせることで、社内およびパートナー企業との間で得られたナレッジを共有・共用し、加盟店支援につなげたい」と述べた。

  • DXツール利用のイメージ、出所:西村氏の講演資料より抜粋

守りのDXにおいては、セキュアかつ安定した次世代店舗ネットワークを重視する。

セブンイレブン ジャパンでは、NTT ComのFlexible InterConnect(FIC)を利用して、クラウドサービスやデータセンターなどを閉域で接続している。今後はFICの活用を拡大し、SalesforceやBoxとの接続のほか、米国のデータセンターを利用してGCP(Google Cloud Platform)、Microsoft Azureと接続するという。

「通信ケーブルを収容保護する『とう道』のように、FICはデジタルネットワークの堅牢さの要であると考える。ゼロトラスト思考での認証・認可など、盤石なセキュリティ実現しつつ、利便性やクラウド活用拡大に向けた拡張性も備えた、次世代ネットワークをインフラとして整備していく」(西村氏)

顕在化しているニーズにデータ分析を生かすだけでなく、将来的には消費者の潜在的な欲求に、先回りして応える商品提案を構想している。

「入店時に、『あっ、これ欲しかったんだよな』『これいいな』と潜在的なニーズやシーズに応えられる品ぞろえができないか、トライしているところだ。AI、データ基盤、DXツールを駆使しつつ、ネットワークやソフトウエアなどのデジタル分野のパートナー企業との連携を通じて、新しい体験を創出したい」と西村氏は語った。

  • セブン-イレブンがDXで実現する未来のイメージ、出所:西村氏の講演資料より抜粋