トヨタ自動車は8月19日、東南アジアにおける新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って生じた部品供給不足の影響から、9月の世界生産が当初計画から4割程度減少する見通しを明らかにした。

ダイハツ工業も同日、8月23日から9月にかけて国内4工場の操業を断続的に停止すると発表したほか、日産自動車も、マレーシアからの車載半導体の供給が新型コロナの感染拡大によって滞っていることを理由に、米国テネシー州におけるスポーツ車などを生産する主力工場を8月16日から2週間休止すると発表。韓国の自動車メーカー現代自動車の米国アラバマ工場など、日本以外の国の自動車メーカー含め、米国では多数の自動車組み立て工場の操業にも支障が出ているという。

特に問題となっているのはマレーシアで、いわゆる強い感染力を持つ「デルタ株」の感染拡大が続いており、6月からのロックダウンによって、多くの工場が操業停止・縮小操業状態に陥っているという。マレーシアの労組組合の調べによると、マレーシアにはSTMicroelectronicsの半導体後工程(実装・検査)工場があるが、クラスターの発生により、すでに19人の従業員が死亡し、100名以上の感染が判明、600名が検疫中という状況で、労働組内からは企業利益より従業員の健康を守るように会社側に申し入れを行っているという。このため、同社からの車載マイコンの出荷に支障が出ている模様だという。

また、マレーシアには、Infineon Technologiesの車載半導体をはじめとする後工程工場や日本の自動車メーカーの組み立て工場もあるが、これらも操業に支障が生じているという。

なお、マレーシアをはじめとした東南アジアにおける半導体後工程工場の操業停止や操業制限の代替先として、台湾のASEやChipMOSなどのOSATに半導体実装・最終検査の注文が殺到しており、売り上げが急拡大していると複数の台湾メディアが伝えている。