台湾の鴻海科技集団(Hon Hai Technology Group:英語名Foxconn)は8月5日、台湾の半導体メモリメーカーであるMacronix International(旺宏電子)が新竹科学園区に保有している6インチ(150mm)ウェハファブを取得することで合意したことを明らかにした。取得額は25億2000万NTドルで、規制当局の承認を得たのち、年内に取引を完了する予定である。

鴻海科技集団の会長兼最高経営責任者であるYoung Liu(劉揚偉)氏は、「今回の6インチウェハファブの買収は、鴻海がワイドバンドギャップ半導体、特にSiCの開発と製造に参入したことを公式に明らかにするものであり、半導体開発への長期的な取り組みへの道を開くものとなる。SiCの製造は、Foxconnの『3+3戦略』(電気自動車、デジタルヘルス、ロボット工学 + AI、半導体、高度な通信の合計6分野を強化する戦略)に沿ったものである。SiC MOSFETは電気自動車にとって重要なデバイスであり、EVは3+3戦略の最重要な位置にある」と述べ、車載SiCデバイス参入を表明している。

一方、Macronixの会長兼CEOであるMiin Wu(呉敏求)氏は、「高度な技術とグローバルな競争力を強化するために、Macronixは今後、12インチ(300mm)ウェハビジネス、特にメモリ容量の大きな3D NANDおよびNORの研究開発と製造に焦点を当てることにした。旧式の6インチウェハファブは、鴻海精密工業が半導体開発計画を強化し、電気自動車の需要を満たすためにSiCデバイス製造の拠点として使用することを約束しているため、今後も同6インチウェハファブが台湾半導体産業に貢献し続けることとなる。Macronixは、世界の自動車用電子機器市場で主導権を握ることを目指しており、今後、鴻海精密工業とより緊密な協力を進めていく」とは述べている。

鴻海は2020年、電気自動車(EV)ハード・ソフトウェアのオープンプラットフォーム「MIH」の立ち上げを表明し、2021年6月下旬にはコンソーシアム(企業連合)を正式に発足させているほか、同7月にもEV産業の発展を支援する基金の創設を発表している。

なお、Macronixの6インチファブについては、東京エレクトロン(TEL)も買収の意向を示していたが、欲しかったのは建屋(クリーンルーム)だけであった模様で、台湾の半導体産業に貢献し続けることを前提とし、鴻海への売却が決まった模様である。

  • Foxconn

    鴻海科技集団(Foxconn)と旺宏電子(Macronix)との調印式の様子 (出所:Foxconn)