夢のあるニュースが飛び込んできた。

Halo(英)がニューヨーク~ロンドン間に空飛ぶタクシーを運行する計画を公表したのだ。

この空飛ぶタクシーには、Eveが開発中のeVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing:電動垂直離着陸機)を採用。eVTOLといえば、日本でもSkydriveやテトラ・アビエーション、eVTOL JAPANなどが手がけている。

今回は、Eveが開発するeVTOL、そしてHaloの空飛ぶタクシーの構想について紹介したいと思う。

Eveが開発する空飛ぶタクシーeVTOLとは?

Eveは、世界第3位のブラジルの航空機メーカーEmbraerからスピンアウトしたeVTOLを開発しているスタートアップ企業だ。

では、EveのeVTOLとはどのようなものだろうか。イメージは発表されているが、まだ開発中の段階で、正直詳細は不明だ。 しかし、以下の動画などを拝見すると次のことが推測できる。

EveのeVTOLの動画

このeVTOLは、「Fly by wire」を採用しているということだ。Fly by wireとは、操縦桿やペダルなどの動きをケーブルや油圧装置を通して補助翼や昇降舵に直接伝達する従来の方式とは異なり、操縦システムを電気的に制御する方式のことだ。

また、修理対応、事故対応、運転教育、定期点検、保険といった車両管理や位置情報、運行支援といった運行管理のフリートマネジメントも独自のノウハウでサービス提供するようだ。

そしてUATM。UATMとは「Urban Air Traffic Management」の略で都市部での空の交通管理のこと。多数機のeVTOLが飛行するなか、事故がないよう交通管理がなされるのだろう。ビルの屋上が離着陸上になるので、一般的な旅客機のように空港などに移動する必要もなく時間削減になると考えられる。

定員は、シート数からおおよそ4名程度が搭乗可能のようだ。その他の詳細なサイズ、重量、電力関連、航続距離、飛行速度などは今のところ不明だ。

Haloの空飛ぶタクシーによるニューヨーク~ロンドン間の運行計画とは?

Haloは、英国のHalo Aviationと米国のAssociated Aircraft Group(AAG)の提携によって設立された企業。ヘリコプターの運営を行なっている。

そんなHaloは、2021年6月1日、EveからeVTOL200機を購入するというプレスリリースを発表した。これによって2026年にロンドンとニューヨークでエアモビリティサービスを展開する計画なのだ。

  • EveのeVTOL

    EveのeVTOL(出典:Eve)

Haloは、世界初となる包括的なアーバンエアモビリティシステムの構築を狙っている。

地上では自動車のタクシーが運行されているが、類似したかたちでeVTOLのタクシーが都市部の上空で運行される、そんな世界だ。

そして、Haloは、ロンドンとニューヨーク間の運行のみならず、世界規模へとこのシステムを拡張していくと考えられる。このアーバンエアモビリティシステムはとても重要なワードだ。

実は、都市移動サービス企業のHaloとEveのeVTOLという垂直着陸機企業が連携することで、この市場にブレークスルーを起こすことが可能となるだろう。

もちろん、クリアしなければならないeVTOLの技術課題や運行サービスを実現する上での規制面での課題などはあるだろうが、これが実現すれば安全でエコで時間短縮など効率的な運行、旅行が可能となると考えられる。

いかがだっただろうか。

また夢のある話題が出てきた。eVTOLを開発する企業は比較的多く存在するが、アーバンエアモビリティシステムの構築のような運行に力点を置いた企業はそれほど多くない印象だ。

まだ、技術面、法規制の面などでクリアしなければならない課題もあるようだが、空が主要なモビリティのフィールドとなる時代に向けた魅力的な話題であると感じる。あと2026年まで5年、どのような未来になっているのか楽しみだ。そして日本では空飛ぶタクシーはどうなっていくだろうか。この動向も注目したい。