脳卒中の救急患者を受け入れている全国の専門医療施設の約18%が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で診療制限を余儀なくされるなどの支障が生じている―。このような調査結果を日本脳卒中学会(宮本享理事長)がまとめた。調査は昨年12月に行われ、調査結果は1月5日に公表された。年が明けて全国の多くの医療現場が逼迫しており、影響の度合いはさらに深刻になっている可能性が高い。

脳卒中は脳血管障害とも呼ばれ、発症後速やかな治療が必要な救急疾患。脳血管が「詰まる」脳梗塞と、脳血管が「破れる」脳出血とくも膜下出血に分かれる。厚生労働省によると、1951年から約30年間は日本人の死亡原因の1位を占めていた。患者数は、90年代以降は減少傾向にあるが、それでも2017年の患者数は約112万人を数える。

日本脳卒中学会は昨年12月中旬、同学会が「一次脳卒中センター」と認定している全国974施設を対象に、COVID-19の拡大が脳卒中救急医療体制に与える影響を調べた。その結果、714施設が回答。調査対象はいずれも脳卒中の救急患者を原則24時間受け入れている専門施設でありながら、回答施設の18.3%に当たる131施設が診療に制限が出たと答え、このうち13施設は、脳卒中の救急患者の受け入れを停止した、と回答した。地域別にみると、調査時点では近畿地方が一番影響を受けた施設が多かった。

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    コロナ禍の影響で診療が制限されている専門施設の割合を示す地域別グラフ(日本脳卒中学会提供)

昨年末から新年にかけて、COVID-19の新規感染者は東京都など都市圏ばかりでなく、全国的に急増。それに伴って入院患者の病床使用率も都市圏を中心に顕著に高まっている。東京都医師会や日本医師会などは「医療現場は逼迫しており、多くの現場は医療崩壊、あるいはそれに近い状況に陥っている」と訴えている。

日本脳卒中学会も「COVID-19のまん延に備えて、感染防御を徹底するなど脳卒中診療のために万全の体制を構築してきたが、これ以上の感染拡大は脳卒中医療を逼迫させ、救急医療の崩壊につながることが危惧される」としている。

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    新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像(NIAID提供)

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