広島県東広島市、広島大学、イズミ、MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ、MONET)の4者は12月4日、スーパーマーケットなどと連携した小売りMaaSを自動運転車で実現する「Autono-MaaS(オートノマース)」の実用化に向けたプロジェクトを、2021年2月に開始すると発表した。

  • プロジェクトの全体像

新プロジェクトは、内閣府による「SDGs未来都市」の選定を受けた東広島市が目指す、住み続けられるまちづくりの推進と、自動運転時代を見据えた国際学術研究都市の実現に向けて実施するもの。

子育て世代や高齢者などの買い物を支援するサービスの実証を目的として、広島大学の学生・教職員や近隣の住民(モニター)を対象に、同市西条町下見及び西条下見地区を中心とするエリアにおいて、下記4つの実証実験に段階的に取り組むとのこと。

1)1台のオンデマンドバスでスーパーへの送迎と商品の宅配を同時に行う実証実験
2)自動運転シャトルの実証実験
3)BOPIS(Buy Online, Pick-up In Store)などの実証実験
4)小売の「Autono-MaaS」の実証実験

このうち1台のオンデマンドバスでの送迎と宅配の同時実施は、2021年2月から2022年3月までの予定で実施する。具体的には、MONETのスマートフォンアプリでの予約に応じて、自宅などの任意の場所からイズミが運営する総合スーパーである「ゆめタウン学園店」への送迎を行う、手動運転のオンデマンドバスを運行する。

また、電話などで注文を受け付けた同店の商品を、モニターが指定する場所・時間に同じオンデマンドバスで配送する実証を同時に行い、貨客混載の運行による新しい買い物支援サービスの実現に向けて取り組む。オンデマンドバスには、MONETが開発したマルチタスク車両を使用するため、シートを外すことで大きな荷物の配送や車椅子での乗車も可能という。

  • May Mobilityの自動運転車

自動運転シャトルの実証実験は、2021年3月から8月までの予定で実施する。米May Mobility(メイモビリティ)が開発した自動運転車を使用して、広島大学の東広島キャンパス内で定路線の自動運転シャトルを運行する。広島大学の学生・教職員は、キャンパス内の移動手段として自動運転シャトルを自由に利用できるとのこと。

BOPISなどの実証実験は、2021年3月から実施の予定。モニターがイズミに電話で注文したゆめタウン学園店の商品を、店頭に設置したロッカーなどで受け取れるサービスであるBOPISを実施する。店頭へは、実証実験で運行するオンデマンドバスをMONETのアプリで予約して移動できるという。

小売のAutono-MaaSの実証実験は、2021年9月から2022年3月まで実施する予定。自動運転シャトルの運行の安全性を確認した上で、広島大学の東広島キャンパスとゆめタウン学園店を結ぶルートにおいて、May Mobilityの自動運転シャトル1台を定路線で運行し、モニターの送迎とイズミのアプリで注文を受け付けた同店の商品の配送を同時に行う予定とのこと。

同プロジェクトは、4者が参画する「東広島市Autono-MaaS推進コンソーシアム」の取り組みの一環として実施するものであり、各者の役割は以下の通り。

東広島市:実証実験場所の提供及び住民などの関係者との調整
広島大学:自動運転シャトルの運行に関わる設備提供、自動運転のデータ解析、実証実験場所の提供など
イズミ:BOPISなど新しい買い物サービスの提供
MONET:オンデマンドバスの配車システムの提供、マルチタスク車両の架装、自動運転シャトルの走行支援

また、その他の協力団体・企業として、広島県タクシー協会がゆめタウン学園店の商品の配送を、広島トヨペットが自動運転シャトルの整備をそれぞれ担当する。