中国の第2期集積回路産業投資ファンド(通称、大基金:ビッグファンド)は、国策半導体企業集団である清華紫光集団傘下の半導体ファブレスIC設計会社UNISOC Communicationsに45億人民元(約6億7000万ドル)の資金提供することを決めたと台湾の複数のメディアが報じている。

UNISOCは、2018年6月に紫光集団傘下のSpreadtrumとRDA Microelectronicsが合併して生まれた国策ファブレスで、中国ではHuawei傘下のHiSiliconに次いで2番めに大きなファブレスとして、低価格端末向けチップセットをはじめさまざまな半導体チップを開発して国策で進められている半導体国産化の推進役の1社として活動している。社名のUNISOCは紫光集団の英語名であるUNI GroupとSystem on a Chip(SoC)を合成した造語である。

  • T7510

    UNISOCの5Gスマホ向けアプリケーションプロセッサ「T7510」のイメージ (出所:UNISOC)

UNISOCは、2019年2月に、4つのArm Cortex-A76コアと4つのArm Cortex-A55コアとArm Mali-G57ベースのGPUを備えたTSMCの6nm EUVプロセスを採用して製造される5Gスマートフォン(スマホ)向けアプリケションSoC「T7520」を発表しているほか、同4月には、中国のスマホベンダHisenseの5Gスマホ「F50」にTSMCの12nm FinFETプロセスを採用した5Gソリューション「T7510」が搭載されていることを明らかにしている。従来、中国の新興スマホサプライヤは、QualcommやMediaTekのAPUを採用してきたほか、中国最大手のHuaweiは傘下のファブレスHiSiliconのAPU「Kirinシリーズ」を採用していたが、F50は心臓部に中国製チップを採用していることを宣伝に使うなど、国策に沿った取り組みを強めており、今後、こうした動きが他社にも出てくることとなれば、QualcommやMediaTekは対応を迫られることになるだろう。