パナソニックは11月28日、パナソニック セミコンダクターソリューションズ(PSCS)を中心に行ってきた半導体事業を台湾Winbond Electronics傘下のNuvoton Technologyに譲渡すること、ならびに同社との間で株式資産譲渡契約を締結することを決定したと発表した。

同社の半導体事業は、かつては家電などの高性能化に向けたSoCなどの設計、製造を中心に行っていたが、近年はそうした家電分野から車載・産業分野へと軸足をシフトさせ、併せて製造される半導体もロジックなどのデジタルから、アナログやイメージセンサへと変更。システムLSIの設計事業を富士通セミコンダクターと事業統合したソシオネクストとして切り出していたほか、ロジックの製造を担っていた主力3工場(新井、魚津、砺波)をタワーセミコンダクター(タワージャズ)との合弁会社「パナソニック・タワージャズ セミコンダクター(TPSCo)」へと移管。海外の後工程工場もUTAC Manufacturing Servicesに譲渡するなど、アセットライト化を進めていた。

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    パナソニック・タワージャズ セミコンダクターの新井工場 (編集部撮影)

今回の事業譲渡は、Nuvotonがパナソニックがそうしたアセットライトの動きの中で残してきた技術や商品設計力などを評価。持続的な成長が期待できるという判断をしてくれたことから、決定されたという。

具体的には、パナソニック デバイスシステムテクノ(PIDST)、パナソニック デバイスエンジニアリング(PIDE)の全株式を会社分割によりPSCSに継承させるほか、パナソニックおよび同社子会社が保有する半導体事業関連の知的財産権および契約の一部、ならびに保有する半導体事業関連資産・負債の一部を会社分割または資産譲渡によりPSCSに継承。PSCSの親会社であるパナソニック出資管理合同会社(PEMJ)が保有するPSCSの全株式を、新たに設立するPEMJの完全子会社(PSCS持ち株会社)に株式譲渡により継承。そしてPSCSの半導体関連部品(リードフレーム)事業を、会社分割によって新たに設立されるPEMJの完全子会社に継承させた後、これらの事業再編を前提年、2020年6月1日を効力発生日(予定)として、PEMJが譲渡前事業再編後のPSCS持ち株会社の全株式をNuvotonに譲渡するほか、パナソニックのシンガポール法人であるパナソニック アジアパシフィック(PA)における半導体の開発・販売事業を担当する社内カンパニー「パナソニック デバイスセミコンダクターアジア(PIDSCA)」の事業をNuvotonのシンガポール法人に譲渡。さらに、パナソニック セミコンダクター蘇州の半導体事業にかかる設備・在庫などをNuvotonの中国法人に譲渡する流れとなっている。

なお、パナソニックは、今回のNuvotonへの事業譲渡に先立ってPSCSのディスクリート半導体事業のうち、ダイオードおよび小信号トランジスタ事業をロームに譲渡することでも合意しており、今回の事業譲渡により、半導体デバイスそのものの設計、製造から撤退することとなる。

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    今回の半導体事業の譲渡による資本関係の変化 (出所:パナソニックWebサイト)