環境省と国立環境研究所は11月30日、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの2017年度の国内排出量は12億9400万トン(CO2換算)だったとする「速報値」を発表した。前年度比1%減で4年連続の減少となった。同省関係者は、再生可能エネルギーの導入拡大などの効果が出ているとしつつ、地球温暖化対策の国際枠組「パリ協定」の目標を達成するためには排出量削減対策を加速させる必要があるとしている。

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    日本の温室効果ガス排出量(2017 年度速報値)(環境省提供)

発表によると、2017年度の温室効果ガスの総排出量は12億9,400万トン(CO2換算で、前年度比1.0%減、2013年度比8.2%減、2005年度比6.2%減だった。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入拡大のほか、一部の原子力発電所が再稼働してエネルギーの国内供給量に占める非化石燃料の割合が増加したことが要因という。

政府は「2020年度に05年度比3.8%削減する」との短期目標を掲げているが、17年度はこの目標は達成したことになる。その一方で、パリ協定で日本は「2030年度に13年度比26%減」という目標を掲げており、この目標とは依然大きな開きがある。

温室効果ガスの大半を占めるCO2排出量を排出部門ごとに対年度比でみると、エネルギー転換部門(発電所など)が4.6%減で一番減少率が大きく、産業部門(工場など)は1.5%減、運輸部門(自動車など)は0.9%減だったが、家庭部門は1.8%増えた。この要因ついて環境省は、家庭で灯油などの石油製品の使用が増えたことを挙げている。

今回発表されたのは「速報値」で、来年4月に「確定値」が発表され、多少数字が変動する可能性がある。確定値は気候変動枠組み条約の事務局に提出する公式の値。

パリ協定については、国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が12月2日ポーランドで開幕。協定の詳しい実施ルール作りなどが議論される。実施ルールについては先進国と発展途上国との間などで意見の対立があり、交渉は難航するとみられている。

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