ベルギーimecと同国フランダース地方の太陽電池研究コンソーシアムEnergyVilleは共同で、ペロブスカイトとシリコンを積層した4端子の改良型タンデム型太陽電池にて変換効率27.1%を達成したと7月24日(欧州時間)に発表した。これにより、現時点で知られている最も効率の良いシリコン太陽電池よりも高い変換効率を実現したことになる。

  • 変換効率27.1%を実現したペロブスカイト/シリコンのタンデム構造太陽電池

    変換効率27.1%を実現したペロブスカイト/シリコンのタンデム構造太陽電池 (出所:imec/EnergyVille)

ペロブスカイトの微細な結晶は、製造コストが安いながらも、高い変換効率を実現できることから、高性能な薄膜太陽電池を製造する有望な材料として知られている。半透明な薄膜で構成されるため、シリコン上に積層することも可能で、設計次第では、ペロブスカイトの光吸収によりシリコンセルで生じる熱損失を最小にすることができるので、ペロブスカイト/シリコンのタンデム太陽電池は将来的に30%を超える変換効率を達成できる可能性があるという。

今回の改良型は、裏面電極構造(Interdigitated Back Contact:IBC)を採用した4端子の4cm2シリコンセルを基板として用い、その基板上に0.13cm2のペロブスカイトセルをスピンコートで形成したもの。同技術は、imecも加入している国際的な太陽電池開発コンソーシアムSollianceが開発した技術を活用したもので、別途、4cm2のIBCシリコンセル上に同サイズのペロブスカイトモジュールを形成してタンデム構造にしたところ、変換効率25.3%と、今回の報告値からはやや落ちたものの、単体のシリコン太陽電池を上回る25.3%の変換効率を得ることができたとしている。

従来型との最大の変更点は、ペロブスカイト・アブソーバの設計とプロセスであり、シリコンとのタンデム構造の変換効率を最適化するためにバンドギャップを微調整することに注力したと研究グループでは説明している。

なお、今回の成果を受けて、産業用シリコン太陽電池の上にペロブスカイトを積層することは、太陽光発電の効率をさらに向上させる費用対効果の高いアプローチの1つになると研究グループでは自分たちの見解を表明しており、高変換効率を求めている太陽電池業界のバリューチェーン内のすべての企業に呼び掛けて、共に研究を進めていくことで、さらなる変換効率の向上を実現したいとコメントしている。