さて発表内容はこの程度であるが、もう少しだけ補足をしておく。PLCは本来、名前の通りプログラムをロードしておき、センサなどの情報を取得してそれにあわせてモータなりアクチュエータなりを動かす、という動作を行うもので、もちろんPhoto07にあるように上位の制御ネットワークからプログラムのロードとかタイミングとかの制御を受けて動作するものであるが、だからといって制御能力が低くて良いというものでもない。

結果、実際の製品はここでPCベースの基板と組み合わせるとか、それなりのMPUを搭載するとかといった製品が少なくないのだが、Micro PLCの初代の場合はこの制御にSTMicroelectronicsのSTM32Fを利用していた。実際、Micro PLCを構成するMAXREFDES63#(8ch Digital Output Micro PLC CardとかMAXREFDES64#(8ch Digital Input Micro PLC Card、あるいはMAXREFDES67#(汎用入力Micro PLC Cardを見ると、それぞれがSTM32F1とかSTM32F4を搭載しているのが判る。

ブロック図を見ると判るが、基本的にこれらはそれぞれのI/OチップとUSBポートのブリッジ的な役割になっており、PLCの一部として全体のプロセス制御をするというよりは、I/O Subsystemの一部といった扱いだったので、これで全体の制御ということは考えていない事が明白であった。

ではPocket IOは? というと、IntelのEdisonモジュールを搭載し、これにすべてのデバイスが繋がる構成になるそうだ。先ほどRJ58コネクタが見当たらないという話をしたが、これはEdisonが基本Ethernetを持っていない(Ethernet over USBでの接続は可能)ためであろう。その代わり、になるかどうかは判断が難しいがEdisonモジュールは無線LANをサポートしており、一応これで接続が可能という事になっている。なぜEdisonか、という質問に対しての直接的な回答は無かったのだが、とりあえずCortex-MベースのMCUに比べれば処理性能もメモリ容量もずっと多いので、初代Micro PLCに比べればスタンドアロンでの処理が現実的に可能になる。ただ、一般的なPLCに求められる処理性能に十分か、といわれればやはり厳しいとことで、その意味では動作デモあるいはリファレンスには十分であっても、最終製品には使えないというPocket IOの目的には適っているのではないかと思う(Photo17~20)。

Photo17:今回は2枚のボードがケースに収められた状態でねじ止めされていたので、肝心の部品面はわからず

Photo18:こちらもシルク印刷のみ。おそらくコネクタそのものは基板の反対側に実装されていると思われる

Photo19:電源(24V)と絶縁入力、それとEdison用のUSB(ホストとデバイス)コネクタが並ぶ。間のスイッチはWi-Fiの動作モードであろう

Photo20:汎用入出力ピンが並ぶ