世界規模の半導体製造装置・材料業界団体である「国際半導体製造装置材料協会(SEMI)」の日本法人SEMI Japanは、12月16~18日に東京ビッグサイトで開催予定の国際半導体製造装置・材料展示会「SEMICON Japan」において、「持続可能な半導体モノ造りパビリオン」を設置し、200mmシリコンウェハに特化したファブ、クリーンルーム、付帯設備、製造装置、保守部品、材料、プロセス、サービスなどに関して集中展示することを決めた。

現在、先端デバイスは直径300mmのシリコンウェハを用いて大量生産が行われている。たとえば、米国Intelのマイクロプロセッサ、AppleやQualcommのアプリケーション・プロセッサ、Samsung ElectronicsのDRAM、東芝のNAND型フラッシュメモリ、ソニーのCCD/CMOSイメージセンサなどである。しかし、IoT時代に需要が見込まれるセンサ、組み込みマイコンなどはむしろ数世代前の加工技術を使って低コストかつ高品質に生産することが可能な枯れた200mmライン(200mmウェハを用いた半導体製造ライン)での生産が適している場合が多い。従来、老朽化した200mmラインは次々と閉鎖されたり、売却されたりしてきたが、ここにきて世界的な規模で、200mmウェハを用いた生産がもう一度見直されている。

200mmファブの状況が一変

米国のSEMI本部は200mmファブがこれから2020年にかけて急成長が見込まれるIoTデバイスの量産プラットフォームとなるとみており、200mmファブの再活用を世界各地で開催される半導体製造装置・材料の展示会SEMICONショ―の目玉にしようとしている。

図1 Surplus Global副社長のEmerald Greig氏

2015年7月に米国カリフォルニア州San Franciscoで開催されたSEMICON WESTでも「IoE(Internet of Everything)に向けた200mmファブの進展」をテーマとするセミナーが開催された。そのなかで、中古半導体装置取引業者Surplus Globalの米国欧州担当副社長Emerald Greig氏(図1)が講演し、「2013年のSEMI予測では、200mmファブでの生産量は、今後減少の一途と予想されており、200mmファブは衰退のはずだったが、米国半導体市場調査企業IC Knowledgeの最新の予測(2015年5月時点)では、2020年に向けて今後数年にわたり急激に増加するとなっており、最近200mmファブの状況が一変している」と述べた。同社は、韓国に本社を置き、中国・台湾・米国に支社を置く世界規模でビジネス展開しており、Greig氏は、GE Capitalで経験を積んだのち2012年より、同社で欧米の半導体中古装置の売買を担当している。

米国半導体市場調査会社IC Insightsの調べでは、 2009~2012年の6年間に世界中で83の半導体ファブ(100~300mmファブ)が閉鎖した。2009年および2010年がそのピークで、それぞれ25カ所および24カ所が閉鎖となった。これはリ―マンショックの影響によるものだ。2011年には6カ所に減ったものの、2012年10カ所、2013年12カ所と増加傾向が続いている。この3年間(2011~2013年)の閉鎖は、主に大手半導体メーカーの300mmへの移行による。2014年にはファブ閉鎖は6カ所に減っており、2015年はもっと減るだろう。これは明らかに200mmファブの復権によるところが大きい。閉鎖された83か所のファブの内、34カ所が150mmファブ、22カ所が200mmファブである(図2左)。

図2 300mm、200mm、および150mmウェハ需要の1991年以降の推移(実績)と今後の予測。200mmファブの復権で、最近200mmウェハの需要予測は一変し、2020年まで需要は上昇する (出所:Surplus Global。2013年時点での予測(Forecast:FCST)はSEMI、2015年5月時点での予測はIC Knowledgeによる)

83の閉鎖ファブの地域別内訳は、日本が一番多くて34カ所、次いで北米25カ所、欧州17カ所である。日本、米国、欧州だけで9割を超えている(図3右)。

図3 2009~2014年に閉鎖した83カ所のファブの(右)ウェハサイズ別および(右)地域別内訳 (出所IC Insights)