2011年11月14日(米国時間)、スーパーコンピュータ(スパコン)処理能力ランキング「TOP500」の2011年11月版の結果が発表された。

毎年6月と11月の年2回発表される同ランキングは、マンハイム大学のHans Meuer氏、米国エネルギー省国立エネルギー研究科学コンピューティング・センターのErich Strohmaier氏/Horst Simon氏、テネシー大学のJack Dongarra氏らが監修したもの。

今回のトップは前回(2011年6月)と同様、理化学研究所(理研)と富士通が開発を進めてきた「京」スパコン。LINPACKの結果は前回の8.162PFlopsから既報のとおり、SPARC64 VIIIfx 88,128CPU(705,024コア)のフルシステムでの測定の結果、2PFlops以上引き上げられ、10.510PFlopsを達成し、「京」は世界で初めて10PFlopsを実現したことが公に認められた。理論ピーク性能は11.28PFlopsで、ピーク比率は93.2%、消費電力は12.659MWとなっている。

理研の計算科学研究機構に設置されている日本の次世代スパコン「京」(出所:理研Webサイト)

2位には2010年11月のTOP500トップであった中国National Supercomputing Center in Tianjin(NSCC)のIntel Xeon X5670(2.93GHz)とNVIDIAのGPUを組み合わせた「Tianhe-1A」が実行性能2.566PFlop/sでランクインした。理論ピーク性能は4.70PFlopsで、消費電力は4.040MW。

3位には米オークリッジ国立研究所(ORNL:Oak Ridge National Laboratory)に設置された米CrayのJagaurが実行性能1.759でランクイン(理論ピーク性能は2.331PFlops、消費電力は6.950MW)。以降、4位には中国National Supercomputing Centre in Shenzhen (NSCS)のNebulaeが同1.271PFlopsで、5位には東京工業大学のTSUBAME 2.0が同1.192PFLopsでそれぞれランクインしており、上位10位までが1PFlops超えのスパコンとなっている。

Top500にランクインしたスパコンシステムの内、GPUコンピューティングを活用したシステムは39システムで、前回の発表時より17システム増加。内訳は35システムがNVIDIA、2システムがCell、2システムがATI(Radeon)となっている。

また、62%のシステムが6コア以上のCPUを活用しており、CPU別では全体の76.8%(384システム)がIntelのプロセッサを(前回は386システムで77.2%)、12.6%(63システム)がAMD Opteronを、9.8%(49システム)がIBM Powerをそれぞれ採用している。

このほか、電力消費量は29システムが1MW超えで、1Wあたりの性能を見た場合、282MFlops/Wが平均値であり、「京」は1Wあたり830MFlopsとなっている。もっとも電力効率が良かったのはBlueGene/Qで、1Wあたり2029MFlopsであった。また、上位10位の平均消費電力は4.56MWで1Wあたりの性能は464MFlops/Wとなっている。

なお、第1位の認定証は11月12日(米国時間)より米国ワシントン州シアトルで開催されているハイパフォーマンス・コンピューティングに関する国際会議「SC11(International Conference for High Performance Computing, Networking, Storage and Analysis)」において、米国太平洋標準時間15日(日本時間16日)に授与される予定となっている。

2011年11月版のTOP500の上位10システム