ミドルレンジ品から提供を開始

Stratix IV GXは7製品、同Eは6製品がラインナップとして予定されているが、始めに提供されるのはGXとしてちょうど中間に位置する「EP4SGX230」である。「Alteraはこれまで、一番大規模な製品から提供を開始し、それで安定して提供していければ、それよりも規模の小さなチップも安定して提供できる」(堀内氏)との考えで製品を提供してきたが、今回に限って言えば、「ロジックエレメント(LE)数に関して言えば、Stratix IIIファミリの上位製品でもかなりの部分をカバーしており、カスタマにヒアリングをしてみた結果、LE数的には230のレンジが求められていたため」(同)であり、よりカスタマの求める製品から提供を開始することを決めたという。

ただし、「Stratix IIIの時より、R&Dの手法を変えて、今回の場合も3年以上、4年近く前からプロセスの開発をスタートし、後半の2年くらいでテストチップを細かく機能ごとに製造してチェックを行ってきた」(同)であり、ラインナップのどこからでも提供できることも強調、それを踏まえての「1番必要とされる分野に適した製品から提供する」(同)とする。

Stratix GX IVの概要は以下の通り。

機能 EP4S
GX70
EP4S
GX110
EP4S
GX180
EP4S
GX230
EP4S
GX290
EP4S
GX360
EP4S
GX530
等価ロジック・エレメント(LE)数 72,600 105,600 175,750 228,000 291,200 353,600 531,200
アダプティブ・ロジック・モジュール(ALM) 29,040 42,240 70,300 91,200 116,480 141,440 212,480
レジスタ数 58,080 84,480 140,600 182,400 232,960 282,880 424,960
M9Kメモリ・ブロック数 462 660 950 1,235 936 1,248 1,280
M144Kメモリ・ブロック数 16 16 20 22 36 48 64
エンベデッド・メモリ(Kビット) 6,462 8,244 11,430 14,283 13,608 18,144 20,736
MLAB(Kビット) 908 1,320 2,197 2,850 3,640 4,420 6,640
18x18マルチプライヤ数 384 512 920 1,288 832 1,040 1,024
PCI ExpressハードIPブロック 1 2 2 2 2 2 4

Stratix IV Eの概要は以下の通り。

機能 EP4SE110 EP4SE230 EP4SE290 EP4SE360 EP4SE530 EP4SE680
等価ロジック・エレメント(LE)数 105,600 228,000 291,200 353,600 531,200 681,100
アダプティブ・ロジック・モジュール(ALM) 42,240 91,200 116,480 141,440 212,480 272,440
レジスタ数 84,480 182,400 232,960 282,880 424,960 544,880
M9Kメモリ・ブロック数 660 1,235 936 1,248 1,280 1,529
M144Kメモリ・ブロック数 16 22 36 48 64 64
エンベデッド・メモリ(Kビット) 8,244 14,283 13,608 18,144 20,736 22,977
MLAB(Kビット) 1,320 2,850 3,640 4,420 6,640 8,514
18x18マルチプライヤ数 512 1,288 832 1,040 1,024 1,360

従来品との比較

Stratix IVの性能を集積度の面から従来品と比較すると、LE数はStratix IV GXでは同II GX比で4倍、同IV Eは同III E比で2倍となっている。また、内蔵メモリの容量はGXでは同3.2倍、Eでは同1.7倍、18×18マルチプライヤ(乗算器)数はGXで同5.1倍、Eで同1.8倍となっている。トランシーバ数とバンド幅についてはGXのみだが、同2.4倍という値になっている。

ここで気をつけておく必要があるのが、LE数の扱いで、初代Stratixとローエンド向けFPGA「Cycloneシリーズ」のLEの構成は4入力LUT+1FFで1LEとなっているが、Stratix II以降の同シリーズはアダプティブ・ロジック・モジュール(ALM)と呼ぶユニットを採用している。これは、8つの入力と1つのフラクチャブルLUTで構成されており、2つのアダプティブLUT(ALUT)として、4入力×4入力や3入力×5入力などの組み合わせを可能にすることで、高いロジック効率と収容能力を実現している。

カスタマによってALUTの仕様が異なるため、Stratix IVでは、LE数の表記も"等価LE数"としており、「ロジック換算ゲート数は一概に言えないが、Stratixでは1LEあたり10~12ゲートで換算が可能」(同)とする。

また、40nmプロセスとなり、消費電力も低減が図られている。ALUTも消費電力を下げる要因の1つとするが、プログラマブル・パワー・テクノロジによる低消費電力化も要因であるほか、通常の動作電圧を0.9Vに引き下げたことも効果を発揮しているという。

「Stratix IIIでは1.1Vを通常動作とし、0.9Vを低電力動作としてきたが、今回は始めから0.9Vを通常動作とした。電力消費量を比較した場合、競合製品比で6W程度の低減(LE数20万で、200MHz動作、60%のロジック使用率、内蔵メモリは各25%使用、DSPブロックは18×18構成を 50%使用)、同等性能のStratix III(0.9V動作)と比較してもより低消費電力での動作が可能」(同)である。

デバイスあたり、数Wの電力削減を実現している (200K LE数の例。競合製品とでは最大6Wの電力消費量低減を実現している。なお、消費電力試算の条件は60%ロジック使用率(ALUT および FF)で 200MHz動作、内蔵メモリは各タイプ 25%使用率、DSPブロックは18x18構成を50%使用、I/Oピンは、64in / 64out 1.8V LVCMOS(200 MHz)、128in / 128out 2.5 V LVCMOS(200 MHz)、 32in / 32out LVDS(800MHz)、および 72ピン DDR3インタフェース)