TSMCジャパン 代表取締役社長 小野寺誠氏

台湾の半導体ファウンドリTaiwan Semiconductor Manufacturing Company(TSMC)の日本法人であるTSMCジャパンは1日、都内で2008年第2四半期(4-6月)の決算概要ならびに日本の概況などに関する説明を行う記者会見を開催した。

TSMCの同四半期売上高は、前年同期比17.6%増となる881億3,700万NTドル、営業利益は同22.8%増の303億7,300万NTドルとなった。アプリケーション別の売上高比率はコミュニケーションが41%、コンピュータが31%、コンシューマが21%、産業/その他が7%となった。

また、売上高における各製造プロセスの比率は0.5μm以上が4%、0.25/0.35μmが10%、0.15/0.18μmが23%、0.11/0.13μmが17%、90nmが28%、65nmが18%となっており、「65/55nmプロセスは、第1四半期に比べ3ポイント上昇するなど引き合いが強くなっている。今後も比率は高まって行き、年末には20%を超すことが見込める」(TSMCジャパン 代表取締役社長 小野寺誠氏)とする。

65nmプロセスが全プロセスに占める割合と売上高の推移(世界的にはコンピュータ系、コミュニケーション系で65/55nmプロセスの採用が進んでおり、これにコンシューマ系も追随してきている状態という)

同四半期におけるウェハの出荷枚数は200mm換算で同25.5%増の232万9,000枚。同四半期の生産能力は子会社であるシンガポールSSMC分を含め230万3,000枚(200mmウェハ換算)で、2008年第4四半期には247万8,000枚(200mmウェハ換算)まで増強することが計画されている。主な投資案件は同社が「ギガファブ」と呼ぶ10万枚程度までの生産能力を持たせることができる2つの300mmウェハ対応ファブ(新竹の「Fab12」と台南の「Fab14」)であり、「第2四半期に設備投資の前倒しをした」(同)という。事実、同社が2008年に予定している設備投資額は16億ドルから18億ドル程度であるが、第2四半期を終えた時点で全体の7割強となる12億ドル超が投資されている。

Fab12の生産能力は第2四半期に20万7,000枚(約6万9,000枚/月)となり、第3四半期で21万4,000枚(約7万1,300枚/月)、第4四半期で22万1,000枚(約7万3,600枚)、Fab14が第2四半期で18万5,000枚(約6万1,500万/月)、第3四半期で22万9,000枚(約7万6,500枚/月)、第4四半期が23万6,000枚(約7万8,600枚/月)となることが予定されている。

TSMCの各ファブの生産能力(2008年末には200mmウェハ換算で247万8,000枚/四半期の生産能力を保有する計画)

現在、Fab12はPhase4として第4棟の建設に2008年1月より着手しており、年末には装置の搬入が行われる計画である。Phase4で拡張されるクリーンルームの広さは2万3,000平米。すでにPhase5(第5棟)の用地も確保済みだという。また、Fab14はPhase3として第3棟の建設を進めており、2008年4月より装置の搬入を開始した。クリーンルームは3万1,000平米で、年内にも本格稼働が見込まれる。こちらもPhase4(第4棟)の用地がすでに確保されている。

第3四半期の見通しは、売上高が前四半期比2~4%増となる900億~920億NTドル、売上高総利益率(粗利益率)は45~47%、営業利益率は34~36%とするも、「例年なら第3四半期は1年で一番忙しく、前四半期比で10%以上伸びる時期。しかし、マクロ経済の失速が影響を及ぼし始めている」(同)としており、「この流れは第4四半期に強くなる。そのため、後半に行くにしたがい不透明感が高まる」(同)とした。