この半導体ニュースのまとめ

・高NA EUVやCFET、3Dメモリの実用化で内部構造を非破壊で測る技術が重要に
・X線やマルチ電子ビーム、複数ヘッドのAFMにより高感度化と高速化を両立
・AIによるノイズ除去や仮想計測を活用し、計測時間と半導体製造の環境負荷を低減

xyスケーリングとz方向のスケーリングで異なる課題

imecは、今後の計測・検査課題を、平面方向の微細化である「xyスケーリング」と、垂直方向の積層である「zスケーリング」に分けている。

xyスケーリングでは、横方向の解像度向上、曲線パターンの形状測定、ウェハ全体に分布する微小欠陥の検出、断面形状を捉える垂直方向の感度が課題となる。

zスケーリングでは、複数の材料層や高アスペクト比構造の内部を非破壊で確認する技術が必要になる。

3D NANDやCFET、ハイブリッドボンディングでは、表面から見えない構造が増える。積層された不透明な材料の内部を透過して観察するとともに、ウェハの表面だけでなく、端部や裏面も測定しなければならない。

こうした要求に対応するため、imecは光学、電子ビーム、原子間力顕微鏡、X線などを、対象と目的に応じて組み合わせるロードマップを策定している。

  • 高度なリソグラフィ、ロジック、メモリ、パッケージング技術をサポートするimecの計測、検査、特性評価のロードマップ

    高度なリソグラフィ、ロジック、メモリ、パッケージング技術をサポートするimecの計測、検査、特性評価のロードマップ (出所:imec)

高エネルギー電子、短波長光、X線を活用

計測・検査装置のハードウェアでは、感度と解像度を高める研究が進められている。

電子ビーム計測では、電子のエネルギーを高めることで分解能を向上。光学計測では短い波長の光を使用し、従来は捉えにくかった小さな欠陥の検出を目指す。

X線はシリコンや積層材料の内部へ到達できるため、3次元デバイスや先端パッケージの非破壊計測で重要性を増す。

一方、高解像度化すると測定時間が長くなる傾向がある。解像度や欠陥感度を維持しながら処理能力を高めるため、複数の測定ヘッドを持つ原子間力顕微鏡や、複数の電子ビームを同時に照射するマルチ電子ビーム検査技術の開発も進められている。

AIで計測データを補正

ハードウェアの進化だけでなく、取得したデータをアルゴリズムで処理し、計測性能を高める取り組みも重要になる。

imecは、電子ビーム画像などへ含まれるノイズをAIで除去し、微小な構造や欠陥を見つけやすくする手法を例に挙げている。

AIによって計測データを処理する場合、ノイズを除去する一方で、実際に存在する微細構造や欠陥を消したり、存在しない特徴を生成したりしないことが重要になる。

計測結果が物理的な意味を維持していることを保証する仕組みと、結果を検証できる専門家の役割が、今後の課題になる。

センサ情報から計測結果を予測する仮想計測

物理的な計測装置によるデータを補完する技術として、imecは仮想計測の活用拡大も見込む。

仮想計測では、製造装置に取り付けられたセンサから、温度、電力、流量などのプロセス条件を取得する。それらのデータと過去の計測結果を関連付け、実際にウェハを測定しなくても、寸法や膜厚などの計測結果をモデルから予測する。

すべての工程とウェハを物理的に測定する代わりに、仮想計測を組み合わせることで、計測回数や時間を抑えながら、製造プロセスを継続的に監視できる可能性がある。

一方、仮想計測の精度を維持するには、製造装置の状態変化や材料ロット、環境条件などをモデルへ反映し続ける必要がある。モデルを検証するための物理計測も引き続き重要となる。

  • 仮想計測の原理

    仮想計測の原理 (出所:imec)

計測は半導体製造の環境負荷低減にも貢献

imecは、計測・検査そのものの環境負荷を抑えることも、今後の技術開発課題に位置付けている。

imec.netzero仮想ファブモデルを使って28nmプロセスを用いたロジック半導体の製造に伴う排出量を分析したところ、エッチングや成膜などと比べ、計測工程が製造全体の排出量に占める割合は小さかったという。

一方、適切な工程で高精度に測定すれば、不良を早期に検出し、後工程まで不良ウェハを処理する無駄を減らせる。歩留まりの向上によって、材料、電力、水、ガスの消費削減にもつながる。

計測・検査技術は、自らの消費電力や資源使用量を減らすだけでなく、製造ライン全体の効率を高める役割も担う。

  • 28nmプロセスにおける工程別の二酸化炭素排出量

    imec.netzeroのv6.1.57 Webアプリによって生成された製造プロセス工程別の28nmプロセスにおけるCO2総排出量 (出所:imec)

3D化とAIで計測技術はさらに多様化

半導体製造に用いられる計測・検査技術は、光学技術を中心とした時代から、電子ビーム、X線、原子間力顕微鏡、スキャトロメトリを組み合わせる方向へ進化してきた。

初期に使われていた光学技術も役割を終えたわけではなく、光源や検出器、データ処理を進化させながら、現在も量産工程の検査とプロセス制御を支えている。

今後は高NA EUVによるxy方向の微細化と、CFET、3Dメモリ、ハイブリッドボンディングによるz方向の積層が並行して進むことが予想されるが、imecは、計測ハードウェアの性能向上に、AIによるデータ処理や仮想計測を組み合わせ、ロジック、メモリ、リソグラフィ、先端パッケージングの技術開発を支援する。

  • 過去40年間に採用されてきたた計測および検査技術

    過去40年間に採用されてきたた計測および検査技術 (出所:imec)

同研究機関が主導する計測・検査エコシステムは、サブ2nm世代の技術開発を対象とするEUの「NanoICパイロットライン」でも活用され、欧州半導体産業の研究開発から量産への橋渡しを担うことになる。

本記事はimecが「SPIE Advanced Lithography and Patterning Conference(SPIEリソグラフィおよびパターニング会議)」のサブカンファレンスとして開催された「2026 Metrology, Inspection and Process Control conference (計測、検査、およびプロセス制御会議)」の創設40周年記念イベントにおける基調講演の内容を要約して、「Four decades of in-fab metrology and inspection: pivotal milestones, and the road ahead」として掲載した記事を翻訳・改編したものとなります