この半導体ニュースのまとめ

・半導体計測の初期は光学技術を中心に発展し、微細化に伴って電子ビーム計測も導入
・2000年代に入ると新材料やHKMGの採用により、X線を用いた材料解析が量産ラインへ
・ArF液浸露光で生じる微小欠陥に対応し、広帯域プラズマ検査装置が普及

ベルギーの研究開発機関imecは、半導体工場で用いられる計測・検査技術について、1986年からの40年間における進化と今後の技術ロードマップを明らかにした。

半導体製造における計測技術は、パターンの寸法や膜厚などを数値化し、製造プロセスが設計仕様を満たしているかを確認する。一方、検査技術はウェハ上に発生した欠陥を検出し、位置や種類を特定する役割を担う。

どちらも半導体の歩留まり、性能、信頼性を確保するために欠かせない技術だが、求められる性能は異なる。計測では正確さが重視される一方、検査ではウェハ全体から多様な欠陥を見つける検出能力が重要になる。

量産ラインで活用するためには、精度や検出感度に加え、再現性、処理能力、コスト、環境負荷も考慮する必要がある。

光学計測が主役だった1986~2005年

imecは、1986年から2005年までを、微細化によって半導体の性能と集積度を予測の下に高められた「Happy Scaling」の時代と位置付ける。出発点である1986年は、原子間力顕微鏡(AFM)や広帯域プラズマ(BBP)といった計測技術が初めて応用された年であり、これらの技術は現在、最先端の半導体製造において不可欠な要素となっている。

  • 1986年以降のimecのロジックスケーリングロードマップの概要

    1986年以降のimecのロジックスケーリングロードマップの概要。リソグラフィとデバイス技術における注目すべきイノベーションと関連付けられている (出所:imec)

当時は、248nmの光を使用するKrF露光装置を中心に微細化が進められ、計測・検査には光学顕微鏡やエリプソメータなどが用いられた。配線幅、膜厚、異なる層間の位置ずれであるオーバーレイ、ウェハ上の欠陥などを光学的に測定していた。

初期の計測は手作業が多く、測定するウェハや位置も限られていたため、主に試作工程の確認に使用されていた。

微細化が130nm世代へ近づくと、光学技術だけでは必要な解像度を確保することが難しくなり、電子ビームを利用する計測・検査装置が導入された。

線幅を測るCD-SEM、検出した欠陥を観察・分類するレビューSEM、ウェハ全体から欠陥を検出する電子ビーム検査装置などが利用されるようになった。

1990年代には計測の自動化と測定箇所の増加も進み、複数のパターン層の位置ずれを測定し、その結果を製造装置へ戻して補正するプロセス制御が可能になった。

同時期には、周期的な構造へ光を当てた際の回折情報から寸法や形状を推定するスキャトロメトリも登場した。非破壊かつ高速に測定できるほか、線幅だけでなく高さやパターン形状も取得できるため、先端工程を支える計測技術へと発展した。

新材料の導入でX線計測が工場へ

2000年代に入ると、寸法を縮小するだけでは性能向上を維持できなくなり、新たな材料が半導体デバイスへ導入された。

90nm世代では、ソース・ドレイン領域にSiGeなどを形成し、シリコンチャネルへひずみを加えてキャリア移動度を高める技術が採用された。45nm世代以降には、従来のSiO2と多結晶シリコンによるゲート構造に代わり、高誘電率膜と金属ゲートを組み合わせるHigh-k/Metal Gate(HKMG)が導入された。

材料の組成や結晶構造、ひずみを生産ライン上で確認する必要が生じたことで、X線回折(XRD)やX線光電子分光(XPS)などのX線を用いた技術が半導体ファブに導入された。

露光技術にも進化の波が訪れた。KrFに続いて投入された波長193nmのArFドライ露光に続き、投影レンズとウェハの間を純水で満たすことで開口数(NA)をを向上させたArF液浸露光が登場。ArFドライ露光に対して開口数を45%高めることで、より微細なパターンを形成できるようになった。

一方、水を使用することで気泡などに起因する新たな欠陥が発生した。そうしたウェハ全体から微小なプロセス起因欠陥を見つけるため、レーザー励起プラズマ光源を使用する広帯域プラズマ検査装置が量産工程へ導入された。

同装置は現在も、先端デバイス構造の検査や配線工程の欠陥検出に使用されている。

(次回に続く)

本記事はimecが「SPIE Advanced Lithography and Patterning Conference(SPIEリソグラフィおよびパターニング会議)」のサブカンファレンスとして開催された「2026 Metrology, Inspection and Process Control conference (計測、検査、およびプロセス制御会議)」の創設40周年記念イベントにおける基調講演の内容を要約して、「Four decades of in-fab metrology and inspection: pivotal milestones, and the road ahead」として掲載した記事を翻訳・改編したものとなります