この半導体ニュースのまとめ

・FinFETの登場で測定対象が平面から立体へ広がり、3D計測の重要性が増大
・マルチパターニングに対応するため、パターン端のずれを示すEPE指標を導入
・EUV特有の確率的欠陥を、光学検査と電子ビーム検査の組み合わせで検出

FinFETで3D計測の時代が到来

第3の転換点となったのが、22nm世代から採用されたFinFETである。

FinFETは、ソースとドレインをつなぐチャネルを立体的なフィン形状とし、その3方向をゲートで囲む構造を採用する。チャネルの3方向から制御が可能となるこのマルチゲート構造は、ゲート長が短くなるにつれてトランジスタの性能を低下させ続けていた短チャネル効果を低減させることを目的に22nmプロセスノードで導入された。

FinFETの導入により、計測対象は平面的な寸法だけでなく、フィンの高さ、幅、側壁形状などを測定する必要が生じ、2次元から3次元へと広がった。光波散乱計測(スキャトロメトリ)が3次元構造の計測にも利用されたほか、光学式寸法測定とCD-SEMなど、複数の計測技術を組み合わせるハイブリッド計測の検討も進展した。

同じ時期、EUV露光技術の量産導入が遅れたことで、193nm液浸露光を延命することを目的としたダブルパターニングやマルチパターニングが採用された。

1つの回路パターンを複数のマスクへ分割して形成することで微細化できる一方、それぞれの露光・加工工程で形成したパターンの位置を高い精度で合わせる必要がある。

imecなどは、形成されたパターンの端部が設計位置からどの程度ずれているかを示す「Edge Placement Error(EPE:エッジ配置誤差)」という指標を導入した。

EPEを求めるには、線幅とオーバーレイだけでなく、複数の加工工程によって生じる寸法分布を測定する必要がある。CD-SEMでも、異なる工程で形成された複数のパターンを判別するための新たなアルゴリズムが求められた。

EUVが生んだ確率的欠陥

2019年には、開口数(NA)0.33のEUV露光技術が7nmプロセス世代のロジック半導体の量産に初めて導入された。

EUVは波長13.5nmの光を使用し、193nm液浸露光よりも微細なパターンを形成できる。一方、ウェハへ到達する光子数が少ないことから、形成されるパターンに確率的なばらつきが生じる。

この確率的影響は、パターン側面や上面の粗さと、局所的に発生する欠陥という2つの課題をもたらした。

  • EUV照射中の光子数の減少は、ライン・ラフネスの増加などの確率的効果を引き起こす

    EUV照射中の光子数の減少は、ライン・ラフネスの増加などの確率的効果を引き起こす (出所:imec)

パターン側面の粗さについては、電子顕微鏡自身が発生させるノイズを取り除き、実際のパターン形状に由来する粗さを推定するCD-SEM計測が開発された。上面の粗さの評価には、原子間力顕微鏡が活用された。

EUV特有の欠陥としては、線がランダムに切れる、隣り合う線がつながる、コンタクトホールが閉じるといった不良がある。

こうした欠陥は10nm以下と小さい一方、広いウェハ上へ低い頻度で発生するため、1つの計測技術だけで効率的に検出することは難しい。

光学検査はウェハの広い範囲を高速で確認できるが、微小欠陥の検出能力に限界がある。電子ビーム検査は微小欠陥を検出できるものの、ウェハ全体を検査するには時間を要する。

このため、光学検査で異常箇所を絞り込み、電子ビームで詳細に確認するなど、複数の技術を組み合わせてEUVの欠陥を検出し、欠陥が生じない露光・加工条件の範囲を把握するアプローチが採用されている。

高NA EUVとCFETが新たな計測課題に

半導体業界は現在も、開口数(NA)0.33のEUVを3nmプロセスおよび2nmプロセス世代のクリティカルレイヤと呼ぶ重要な回路層に使用している。

今後は、開口数を0.55へ高めた高NA EUVをサブ2nm世代へ導入することで、解像度を高めながらマルチパターニングを減らし、製造工程を簡素化することが期待されている。

直線だけでなく曲線を含むパターンや、異なる方向へ配置された構造も増えるため、計測・検査装置には高い横方向の解像度、複雑な形状を認識する能力、広い範囲から微小欠陥を見つける能力が必要になる。

トランジスタ構造では、GAAナノシートに続き、n型とp型のトランジスタを垂直方向へ積層するCFETが0.7nm(A7)プロセス世代以降に導入される可能性がある。

メモリも、3D NANDに加えてDRAMの3次元化といったことが検討されており、そこには別の課題が伴うこととなる。また、裏面電源供給、CFET下層デバイスへの裏面コンタクト、ダイ・ツー・ウェハおよびウェハ・ツー・ウェハのハイブリッドボンディングなど、ウェハ表面以外を利用する構造も増加する機会も出てくることとなり、それぞれに応じた課題への対応が求められることとなる。

(次回に続く)

本記事はimecが「SPIE Advanced Lithography and Patterning Conference(SPIEリソグラフィおよびパターニング会議)」のサブカンファレンスとして開催された「2026 Metrology, Inspection and Process Control conference (計測、検査、およびプロセス制御会議)」の創設40周年記念イベントにおける基調講演の内容を要約して、「Four decades of in-fab metrology and inspection: pivotal milestones, and the road ahead」として掲載した記事を翻訳・改編したものとなります