• 雛形作成とテキストボックスの位置調整

    雛形作成とテキストボックスの位置調整

今回は、Wordを使って「封筒の宛名」を印刷する方法を紹介していこう。通常、封筒の宛名印刷にはタックシール(ラベルシール)を利用するのが一般的だ。しかし、「手元にタックシールがない」とか、「1〜2通だけなのでタックシールを利用するほどではない」といった状況も十分に考えられるだろう。こういった場合に活用できるのが、ここで紹介するテクニックとなる。自分の手で宛名書きをしたくないときの対処法として、覚えておくと役に立つだろう。

封筒コマンドは使えない?

まずは、Wordの「差し込み文書」タブに用意されている「封筒」コマンドについて補足しておこう。このコマンドを使えば「手軽に封筒印刷ができる」と思うかもしれない。しかし、実際にはそうではない。

というのも「封筒」コマンドは、海外でよく使われている「横長の封筒」への印刷を実現する機能であり、日本でお馴染みの「縦長の封筒」には対応していないからだ。このため、郵便番号枠の中に数字を記載(印刷)するなどの機能も装備されていない。よって、別の方法で封筒印刷を実現しなければならない。

  • Wordに用意されている「封筒」コマンド

    Wordに用意されている「封筒」コマンド

封筒に合わせた用紙サイズと余白の設定

ということで、日本式の「縦長の封筒」に宛先を印刷する方法を紹介していこう。最初に行うべき作業は、用紙サイズを「封筒のサイズ」に設定することだ。

A4を3つ折りで封入できる「長形3号」などの一般的な封筒サイズは、「サイズ」の一覧に選択肢が用意されているので、項目を選ぶだけでサイズを指定できる。なお、一覧に用意されていないサイズの封筒を使用するときは「その他の用紙サイズ」を選択し、幅と高さを数値(mm単位)で指定すればよい。

  • 用紙サイズの設定

    用紙サイズの設定

用紙サイズが指定したサイズに変更される。ただし、余白のサイズは初期設定(A4の余白)のまま維持されている。このままでは使いづらいので、余白を0(ゼロ)に変更しておこう。「レイアウト」タブの「ページ設定」グループにある「小さい四角形」をクリックする。

  • 「ページ設定」ダイアログの呼び出し

    「ページ設定」ダイアログの呼び出し

「ページ設定」ダイアログが表示されるので、「余白」タブを選択し、上下左右の余白を0(ゼロ)に設定する。続いて「OK」ボタンをクリックすると、用紙サイズと余白の設定は完了となる。

  • 余白を0に変更

    余白を0に変更

郵便番号の入力欄の作成

続いては、封筒の郵便番号枠に合わせて数字入力用のテキストボックスを配置していこう。その前準備として、郵便番号枠の位置を計測しておく。使用する封筒に定規をあてて、1桁目の郵便番号枠の「左端からの距離」と「幅」を計測する。

  • 左端からの距離と幅の計測

    左端からの距離と幅の計測

同様の手順で縦方向の数値も計測する。なお、封筒の上端は、フタの部分を除いた「折り目の位置」が基準となる。ここを起点に郵便番号枠の「上端からの距離」と「高さ」を計測する。

  • 上端からの距離と高さの計測

    上端からの距離と高さの計測

それぞれの数値を計測できたら、数字(郵便番号)を入力するためのテキストボックスを配置していく。とりあえずは、適当な位置に、適当なサイズでテキストボックスを描画する。

  • テキストボックスの描画

    テキストボックスの描画

続いて、テキストボックスの位置とサイズを調整する。描画したテキストボックスを右クリックし、「その他のレイアウト オプション」を選択する。

  • 「レイアウト」ダイアログの呼び出し

    「レイアウト」ダイアログの呼び出し

「レイアウト」ダイアログが表示されるので、「位置」タブでテキストボックスの位置を指定する。具体的には、基準に「ページ」を指定し、先ほど測定した「左端/上端からの距離」をミリ単位の数値で指定すればよい。

  • テキストボックスの位置を指定

    テキストボックスの位置を指定

続いて、テキストボックスのサイズを指定する。「サイズ」タブを選択し、先ほど測定した郵便番号枠のサイズを「高さ」と「幅」に指定する。以上で、テキストボックスの配置調整は完了。「OK」ボタンをクリックする。

  • テキストボックスのサイズを指定

    テキストボックスのサイズを指定

次は、テキストボックス内の余白を調整していこう。「図形の書式」タブの「図形のスタイル」グループにある「小さい四角形」をクリックする。続いて、以下の図に示したアイコンを選択し、上下左右の余白を0(ゼロ)に設定する。また、この時点で垂直方向の配置を「上下中央揃え」に変更しておく。

  • テキストボックス内の余白を0に変更し、上下中央揃えを指定

    テキストボックス内の余白を0に変更し、上下中央揃えを指定

ここまで作業できたら、テキストボックス内に適当な数字を入力して、文字の書式を指定する。今回の例では、文字の書式に「HGゴシックE、14pt」を指定した。また、文字の配置を「中央揃え」に変更しておく。

  • 文字の書式指定

    文字の書式指定

続いて、文字のグリッド揃えを解除する。文字を選択した状態で「段落」ダイアログを呼び出し、「1ページの行数を指定時に文字を行グリッド線に合わせる」をオフに変更して「OK」ボタンをクリックする。

  • 行グリッド線に合わせるの解除

    行グリッド線に合わせるの解除

以上で、文字の配置に関する書式設定は完了となる。テキストボックスの中央に数字が配置されているのを確認できるだろう。

  • 配置を調整した文字

    配置を調整した文字

最後に、テキストボックスの枠線を消去しておこう。「図形の書式」タブを選択し、図形の枠線に「枠線なし」を指定する。

  • 「枠線なし」の指定

    「枠線なし」の指定

これで「1桁目の郵便番号」のテキストボックスを作成できた。これを複製して、2桁目以降のテキストボックスを作成していく。「Ctrl」キーを押しながらテキストボックスをドラッグして複製する。テキストボックスを3つに複製できたら、「3桁目の郵便番号」の位置を定規で測定した位置に配置する。その後、3つのテキストボックスを同時選択し、「オブジェクトの配置」コマンドで「上揃え」と「左右に整列」を指定する。これで、先頭の3桁を等間隔で配置できる。

  • テキストボックスを複製して整列

    テキストボックスを複製して整列

同様の手順で、4〜7桁目のテキストボックスを配置する。具体的には、テキストボックスを4つ複製して「4桁目」と「7桁目」を正しい位置に配置し、「オブジェクトの配置」コマンドで等間隔に整列させればよい。なお、状況を把握しやすくなるように、下図の例では各テキストボックス内の数字を1〜7に変更している。

  • 後半4桁の作成

    後半4桁の作成

宛先(住所)の入力欄の作成

これで7桁の郵便番号を配置できた。続いては、宛先(住所、社名、氏名)を入力するテキストボックスを作成していこう。こちらは細かな位置調整は不要なので、適当な位置にテキストボックスを描画すればよい。その後、宛先の文字を入力し、書式を指定する。

  • 宛先(住所)を入力するテキストボックス

    宛先(住所)を入力するテキストボックス

今回の例では「横書き」で宛先を入力しているが、これを「縦書き」にしても構わない。ただし、「縦書き」のほうが文字の配置のバランス調整は難しくなる。このあたりは各自の好みに応じて好きなほうを選べばよい。

印刷テストとファイルの管理

以上で「封筒の宛名」の作成は完了。郵便番号が正しく配置されているかを確認するためにテスト印刷してみよう。このとき、いきなり封筒に印刷するのではなく、用紙設定を封筒にしたまま、A4の用紙をプリンターにセットしてテスト印刷を実行してみるとよい。

  • 印刷テストの実行

    印刷テストの実行

というのも、用紙サイズに封筒を指定した場合は、印刷方向が逆向きに自動設定されるケースが多いからだ。試しにA4用紙にテスト印刷してみると、通常とは上下を逆にした形で印刷が実行されるのを確認できると思う。これは紙詰まりのエラーを回避するための対策となる。

たいていの場合、封筒に印刷するときは、袋側を前方(下)にして、フタの部分が後方(上)になるように封筒をセットするのが基本となる。この印刷の向きを確認するためにも、最初はA4用紙でテスト印刷してみるとよい。

さらに、テスト印刷したA4用紙を実際の封筒に重ねてみて、郵便番号が適切な位置に印字されているかも確認しておくとよい。もしも位置が微妙にズレている場合は、この時点でテキストボックスの位置を微調整する。

テスト印刷で特に問題が見つからなくなれば、封筒印刷用のデータ作成は完了だ。プリンターに封筒をセットして、本番の印刷を行えばよい。以上が、今回の記事で紹介したテクニックの概要となる。

封筒をひとつ印刷するだけなのに、郵便番号の配置設定にかなり手間取ると思うだろう。しかし、この作業が必要になるのは最初の1回目だけ。2回目以降は、郵便番号と宛先を書き替えて印刷するだけで、即座に封筒印刷を実行できる。

なお、毎月1回など、定期的に送付する封筒がある場合は、その宛先をデータとして残しておき、別ページに自由入力用の宛先フォームを複製してもよい。たとえば、以下の図のように文書ファイルを作成しておくと、1ページ目は宛先の自由入力用、2ページ目以降を定期的に送付する宛先用として活用できるようになる。

  • ページで宛先を管理した例

    ページで宛先を管理した例

あとは印刷時に、印刷するページ番号を指定するだけ。これで用途に応じて文書ファイルを使い分けられるようになる。少部数の宛名書きは「手書き」でも十分に対応できるが、いちど印刷用の文書フォーマットを作成しておけば、以降は宛先の文字修正(または印刷するページの指定)を行うだけで封筒印刷を実現できるようになる。便利に活用できるので、気になる人はいちど試してみるとよいだろう。