このものづくりニュースのまとめ
・フルヤ金属が金属ナノ粒子と複合酸化物ナノ粒子の量産技術を本格展開
・連続フロー型製造装置、洗浄・精製、プロセス設計の3技術で量産を支援
・水素製造用触媒や燃料電池、半導体材料、医療分野などへの活用を想定
フルヤ金属は10月30日、次世代材料として期待される金属ナノ粒子やナノ合金の研究開発と、産業利用に向けた量産化に対応する技術展開を本格的に進めると発表した。
単金属ナノ粒子と合金ナノ粒子に加え、複合酸化物ナノ粒子の量産プロセスを確立。独自の合成技術や洗浄技術を活用し、研究開発用途の少量試作から量産化までを一貫して支援する。
本来は混ざらない金属を原子レベルで融合
金属ナノ粒子は、金属をナノメートル単位まで微細化した材料で、粒径が小さくなることで表面積が増大し、バルク状態の金属とは異なる物理・化学特性を発現する。
合金ナノ粒子は、複数の金属元素をナノスケールで原子レベルに混合した材料となる。通常のバルク状態では混ざり合わない金属元素の組み合わせでも、ナノ粒子化によって均一に融合できる可能性がある。
フルヤ金属は、京都大学大学院理学研究科の北川宏教授との共同研究などを通じて培った元素間融合技術を、量産可能なプロセスへ発展させた。
パラジウム、ルテニウム、白金、イリジウムなどの貴金属に加え、鉄、コバルト、ニッケルといった金属のナノ粒子化に対応。パラジウムとルテニウムなどの固溶ナノ合金を、酸化物へ担持した触媒も製造している。
1~2nmの複合酸化物ナノ粒子も製造
酸化物ナノ粒子では、同社の超臨界フロー合成技術により、一般的な共沈法では難しい1~2nmの結晶微細化を実現したという。
酸化物や複合酸化物の結晶をナノスケールまで微細化することで、触媒担体や機能性酸化物として利用できる。金属ナノ粒子と組み合わせた複合触媒の製造にも対応する。
ナノ粒子は高い比表面積と多数の反応活性サイトを持つ一方、粒子の凝集や粗大化、組成・粒径のばらつきなどが量産時の課題となる。
フルヤ金属は、長年培ってきた工業用貴金属の精製・加工技術とナノ粒子製造技術を組み合わせ、品質を維持したまま生産量を増やすための製造基盤を構築した。
連続フロー型製造装置で粒径と組成を制御
量産化を支える1つ目の技術が、独自の連続フロー型製造装置による粒径・組成制御となる。
ソルボサーマル合成法を応用した製造装置を用い、均一な品質のナノ粒子を連続的に合成する。少量の研究用途だけでなく、2~3kg/月規模での製造にも対応し、実用化に向けた評価へ必要な材料を供給する。
バッチ単位で合成する場合と比べ、反応条件を一定に保ちやすく、ナノ粒子の粒径や組成のばらつきを抑えながら連続生産できる点を特徴とする。
保護剤や不純物を除去して性能を引き出す
2つ目が、合成時に使用する保護剤や不純物を除去する洗浄・精製技術。ナノ粒子の合成では、粒子の凝集を防いで分散状態を保つため、高分子保護剤などが使用される。一方、粒子表面に保護剤が残ると、反応活性サイトを覆って触媒性能を低下させる可能性がある。
同社は、ナノ粒子の構造を維持しながら、余分な有機系保護剤や不純物元素を選択的に除去する独自技術を確立。ナノ粒子が本来持つ触媒活性や機能性を引き出せるようにした。
3つ目の技術が量産化プロセスの設計となる。試作評価で得られたデータを基に、生産条件の最適化やスケールアップを進め、安定生産に必要な製造条件を構築。顧客が求める機能や用途に応じた組成の提案から、材料の試作、評価、量産プロセスの構築までを支援する。
水素製造や半導体材料などへ展開
用途としては、水素製造用触媒、燃料電池用電極材料、有害物質の分解触媒などの環境・エネルギー分野を想定する。
金属元素の組み合わせや粒径、組成を制御することで触媒性能を高めるほか、希少な貴金属の使用量削減や代替材料の開発にもつなげる。
電子・情報分野では、次世代半導体向け配線材料や高感度センサー用微粒子、導電ペースト、電極材料などへの応用を見込む。粒径や組成を制御することで、導電性、光学特性、熱特性などを調整できるという。また、医療・バイオ分野では、診断用材料や薬剤を患部へ届けるドラッグデリバリーシステムなどへの活用が期待されている。
フルヤ金属は、研究室で発見されたナノ材料を産業利用へつなげるため、材料設計から量産までの技術基盤を提供し、環境、エネルギー、半導体、電子材料、医療などの課題解決を支援するとしている。
