パナソニック ホールディングスは10月30日、2026年度第2四半期決算を発表した。AIデータセンター向け蓄電システムや電子部品の需要拡大などを背景に増収増益となり、通期の業績予想を上方修正した。調整後営業利益は従来予想から1300億円引き上げて7800億円とし、2028年度に掲げていた7500億円以上の利益目標を2年前倒しで達成することを目指す。
決算説明会では、経営陣が想定を上回る業績の伸びについて説明するとともに、AI関連投資のさらなる拡大を検討していることを明らかにした。
第2四半期は過去最高益、全セグメントで調整後営業利益が増加
2026年度第2四半期(7~9月)の連結売上高は前年同期比8%増の2兆736億円、営業利益は同131%増の1807億円となった。調整後営業利益は前年同期の904億円から2132億円へと増加し、調整後営業利益率は前年同期の4.7%から10.3%に改善した。
調整後営業利益はすべてのセグメントで前年同期を上回り、第1四半期に続いて第2四半期としての過去最高益を更新した。
増益の要因として、AIインフラ関連事業やその周辺領域の需要拡大に加え、構造改革による固定費削減、価格改定、合理化などの効果が挙げられる。
調整後営業利益の増減要因を見ると、増販益が600億円、構造改革による330億円の改善効果などを背景に固定費が210億円改善し、価格改定・合理化なども740億円のプラスとなった。
一方、ドラム式洗濯乾燥機のリコールに伴う費用190億円が、営業利益の押し下げ要因となった。
決算説明会では、代表取締役 社長執行役員 グループCEO 楠見雄規氏が、今回の業績見通しについて、「正直、私にとってはここまでというのは驚きだった」と述べた。
昨年度の構造改革に伴う厳しい決断に触れ、その成果を出す必要があったと振り返ったうえで、AI関連事業の需要が想定以上に拡大したことが業績を押し上げたとの認識を示した。
AIデータセンター向け蓄電システムと電子部品が成長を牽引
業績拡大を牽引したのが、AIデータセンター向けの製品を展開するエナジーとインダストリーだ。
エナジーでは、データセンター向け蓄電システムの需要が拡大した。国内では車載電池向け生産ラインからの切り替えを進めており、メキシコでは9月に第2工場が稼働を開始した。
また、AIサーバに搭載されるチップの進化や高度化に対応するため、インダストリーと連携した新たな電源ソリューションの開発も進めており、2026年度内の量産を予定している。
インダストリーでは、AIインフラ向けコンデンサや高機能多層基板材料の販売が拡大した。さらに、半導体製造装置向けのサーボモーターやセンサなど、周辺領域のFA機器も好調に推移した。
同社は、インダストリーのAI関連事業の2026年度売上高見通しを、従来の3100億円から3600億円に引き上げた。
これに対応するため、パナソニック インダストリーは同日、AI関連事業に約920億円を投資すると発表した。中国・蘇州とタイ・アユタヤで高機能多層基板材料の生産能力を増強するほか、国内外でコンデンサの生産能力を拡大し、三重県には次世代半導体用材料の研究開発施設を新設する。
説明会では、この920億円が既に示していた1500億円の投資計画に含まれることを明らかにした。そのうえで、AI関連需要が当初想定を上回っていることから、1500億円の投資計画をさらに積み増すことも検討しているとした。
AIインフラ関連事業、2028年度売上高目標を1兆6000億円に引き上げ
AIインフラ関連事業の成長見通しも引き上げた。
2028年度の売上高目標は、5月に公表した1兆3800億円から1兆6000億円へと上方修正した。内訳はエナジーが1兆円、インダストリーが6000億円となる。
インダストリーでは、GPU周辺領域における材料需要の拡大に加え、中国系顧客からの需要増加や、ADAS(先進運転支援システム)、ロボティクスなどのエッジ領域での需要拡大を見込む。
一方、AIデータセンター向け需要の先行きについて、経営陣は電力供給や労働力不足によってデータセンターの建設が遅れる可能性にも言及した。需要の拡大傾向は続くと見ながらも、想定される需要がそのまま受注につながるとは限らないとの認識を示した。
データセンター向け蓄電システムについては、現時点で新たな専用工場を建設する計画はないという。既存の車載電池向け生産ラインの転換を進め、将来的な需要増加に対しては米国カンザス工場の生産能力の活用も選択肢になると説明した。
通期業績を上方修正、構造改革は「まだ2合目、3合目」
2026年度の通期連結業績予想は、売上高を従来の7兆8000億円から8兆4000億円へ、営業利益を5900億円から7100億円へ、それぞれ上方修正した。
調整後営業利益は6500億円から7800億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益は4500億円から5400億円に引き上げた。ROE(自己資本利益率)は10%を見込む。
今回の修正には、AIインフラ関連需要の拡大だけでなく、為替水準の見直しや米国関税の還付影響なども反映している。
調整後営業利益の通期見通しが7800億円となったことで、2028年度に7500億円以上とする利益目標を2年前倒しで達成することを目指す。
楠見氏は、グループの構造改革について「まだ2合目、3合目」との認識を示した。そのうえで、「4合目、5合目と進んでいったらどうなるのか」と述べ、改革をさらに進めた場合の成長余地を見極めながら、次の目標を定めていく考えを示した。
また、今期を成長フェーズへの転換点と位置付けていることについて、楠見氏は「兆しが見え始めたかなという感覚を私としては持っております」と述べた。一方で、さまざまなリスクが残っているとして、成長への転換を達成したと判断することには慎重な姿勢を示した。
今後の成長領域の一つと位置付けるソリューション事業については、12月のインベスターデーで具体的な成長戦略を説明する予定だ。



