日立製作所(以下、日立)、日本電気(以下、NEC)、富士通の国内IT大手3社が、10月28日から29日にかけて2026年度第2四半期決算を発表した。

日立は4~9月期の売上収益が前年同期比17.3%増の5兆6140億円、調整後EBITAが同24.5%増の6996億円となった。電力インフラや国内ITの需要拡大などを背景に、第1四半期に続いて通期業績予想を上方修正。

NECも売上収益が同11.7%増の1兆7539億円、Non-GAAP営業利益が同608億円増の1883億円と増収増益を達成。国内ITサービスの収益性改善や社会インフラ事業の好調を受け、こちらも通期予想を引き上げた。

一方、富士通の売上収益は同3.8%増の1兆6263億円、調整後営業利益は同73億円減の1139億円と増収減益。サービスソリューションは増収増益となったものの、ハードウェアの部材高騰や先端テクノロジーへの開発投資拡大などが影響した。

なお、本稿では各社が決算説明で重視する利益指標を使用している。日立は調整後EBITA、NECはNon-GAAP営業利益、富士通は調整後営業利益と、指標の定義が異なるため、利益額や利益率を単純に比較することはできない。

日立、エナジー事業が好調で通期予想を上方修正

まずは28日に決算会見を行った日立から。日立はエナジー、デジタルシステム&サービス(DSS)、コネクティブインダストリーズ(CI)、モビリティの4セクターすべてで、上期の増収増益を確保した。

  • 日立、2026年度の通期業績見通しと株主還元

    日立、2026年度の通期業績見通しと株主還元

特に好調だったのがエナジー事業だ。この事業の上期売上収益は前年同期比32%増の1兆8723億円、調整後EBITAは同1021億円増の2748億円となった。欧州の大型HVDC(高圧直流送電)プロジェクトやデータセンター関連需要などが業績を押し上げ、日立エナジーの受注残高は前年度末比14%増の10.5兆円に達した。

DSSも国内のAIトランスフォーメーション(AX)や既存システムのモダナイゼーション需要を取り込み、上期売上収益は同10%増の1兆5331億円となった。

これらを踏まえ、同社は通期売上収益予想を前回発表から3000億円増の12兆円、調整後EBITAを400億円増の1兆5600億円、親会社株主に帰属する当期利益を200億円増の9200億円に引き上げた。

デジタル事業では、「Lumada(ルマーダ)」の上期売上収益が前年同期比31%増の2兆4280億円となった。AIにより社会インフラの高度化を図るソリューション群「HMAX」の上期売上収益も2380億円となり、通期では70%増の5100億円を見込む。

  • Lumada事業の拡大

    Lumada事業の拡大

また、海外ITサービス事業では、GlobalLogicとHitachi Digital Servicesを統合する新会社「Hitachi Digital」の設立を発表した。主要200顧客との取引拡大に注力し、AIやデータ、クラウドなどの技術と産業分野の知識を組み合わせて事業成長を目指す。

AIの社内活用による生産性向上も進めている。SI事業では前年度末までに約10%の生産性向上を実現しており、2026年度末に約20%、2027年度には30%の向上を目標としている。

NEC、BluStellarと海外事業が成長 通期予想を上方修正

続いては同じく28日に決算会見を行ったNEC。NECはITサービスと社会インフラの両セグメントで増収増益を記録。連結での売上収益は前年同期比11.7%増の1兆7539億円、Non-GAAP営業利益は同608億円増の1883億円となり、増収増益を達成。Non-GAAP営業利益率は前年同期の8.1%から10.7%へと2.6ポイント改善した。

  • NEC、第2四半期決算のポイント

    NEC、第2四半期決算のポイント

国内ITサービス事業における「BluStellar(ブルーステラ)」の拡大や収益性改善に加え、航空宇宙・防衛、海洋システムの好調が業績を押し上げた。2026年5月から連結を開始したCSG Systems International(CSG)も増収増益に寄与している。なお、CSGを前年同期から連結していたと仮定したプロフォーマベースでは、売上収益の増加率は6.6%となる

  • 国内ITサービスの状況

    国内ITサービスの状況

こうした業績進捗を受け、同社は通期業績予想を上方修正。売上収益を従来予想から2000億円増の3兆7400億円、Non-GAAP営業利益を300億円増の4600億円に引き上げた。ITサービスの上方修正はすべて海外事業によるもの。

事業別では、ITサービスの上期売上収益は前年同期比9.5%増の1兆3305億円、Non-GAAP営業利益は同371億円増の1604億円だった。特に国内では「BluStellar」が成長をけん引。BluStellarの上期売上収益は同29.5%増の3583億円、Non-GAAP営業利益は同164億円増の545億円となった。利益率も前年同期の13.8%から15.2%に改善した。

モダナイゼーションやセキュリティ領域を中心とした事業拡大に加え、アビームコンサルティングの好調も寄与した。一方、BluStellar以外のベース事業は売上収益が前年同期比10.0%減の6624億円。低収益事業の収束や前年度の特需の反動などが影響した。

海外ITサービスでは、CSGが業績を押し上げた。売上収益は前年同期比53.1%増の3098億円、Non-GAAP営業利益は同169億円増の369億円となった。

社会インフラ領域の上期売上収益は同20.3%増の3565億円、Non-GAAP営業利益は同226億円増の364億円。航空宇宙・防衛や海洋システムが引き続き好調で、特に海洋システム事業の売上収益は前年同期比80.3%増となった。

AI分野では、米AnthropicやGoogle Cloudなどとの協業を進めているほか、独自の大規模言語モデル(LLM)開発の経験を生かした国産AIの開発にも取り組む。11月には、複数のAIモデルの使い分けによって利用品質とコストの最適化を支援する「cotomi Gateway」の提供を予定している。

富士通、調整後営業利益は減益もUvanceが成長

最後に、29日に決算会見を行った富士通について紹介する。連結合計の売上収益は前年同期比3.8%増の1兆6263億円、調整後営業利益は同73億円減の1139億円だった。増収減益となったが、主力のサービスソリューションは堅調に推移した。

  • 富士通、2026年度上期決算概況

    富士通、2026年度上期決算概況

サービスソリューションの売上収益は前年同期比5.9%増の1兆1294億円、調整後営業利益は同11.8%増の1337億円となった。製造業や官公庁・自治体、防衛、金融など幅広い分野で需要が拡大したほか、増収効果や採算性の改善が増益につながった。

成長の中心となったのが、社会課題や企業の経営課題の解決を支援する事業ブランド「Uvance(ユーバンス)」だ。上期売上収益は前年同期比26.5%増の3934億円、受注高は同22%増の3887億円となった。サービスソリューション全体の売上収益に占めるUvanceの構成比は35%に達した。

  • Uvance事業の上期状況

    Uvance事業の上期状況

もう一つの成長領域であるモダナイゼーションも、上期受注高が前年同期比56%増の2399億円、売上収益は同20%増の1941億円となった。今後はAIを活用したシステム刷新によって、品質向上や移行期間の短縮を図り、事業拡大につなげる方針だ。

一方、ハードウェアソリューションは売上収益が前年同期比5.7%増の4491億円となったものの、調整後営業利益は同64.0%減の45億円だった。メモリなどの部材価格高騰が収益を圧迫した。

ユビキタスソリューションも、2025年10月のWindows 10サポート終了を前に発生したPC更新需要の反動から減収減益となった。

富士通は、次世代CPU「MONAKA」やフィジカルAI、量子コンピュータなどの先端技術開発への投資も継続する。通期の調整後連結業績予想は据え置き、サービス事業の成長と収益性改善を進める考えだ。

日立・NEC・富士通、AI・DX事業の成長に共通点

3社の上期決算では、日立とNECが通期業績予想を上方修正した一方、富士通は全社で増収減益となった。ただし、各社が重点領域とするデジタルサービス事業はいずれも成長を続けている。

日立のLumada、NECのBluStellar、富士通のUvanceは、いずれもAIやデジタル技術を活用した事業拡大を進めている。ただし、それぞれ事業の対象範囲が異なるため、売上規模や成長率をそのまま比較することはできない。

また、AIは顧客向けサービスの拡大だけでなく、自社の開発・運用業務の生産性向上にも活用され始めている。

今後は、AI・DX関連の需要をどこまで売上拡大につなげられるかに加え、AI活用による生産性向上や事業構造の見直しを通じて、収益性を高められるかが各社の注目点となる。