NECは10月28日、2026年度(2027年3月期)第2四半期決算を発表し、同日に機関投資家・アナリスト向けの決算説明会を開催した。

2026年度上期(4~9月)の売上収益は前年同期比11.7%増の1兆7539億円、Non-GAAP営業利益は同608億円増の1883億円となり、増収増益を達成した。Non-GAAP営業利益率は前年同期の8.1%から10.7%へと2.6ポイント改善した。

IFRSベースの営業利益は前年同期比23.3%増の1462億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は同59.9%増の1164億円となった。

国内ITサービス事業における「BluStellar」の拡大や収益性改善に加え、航空宇宙・防衛、海洋システムの好調が業績を押し上げた。また、2026年5月から連結を開始したCSG Systems International(CSG)も増収増益に寄与した。

こうした業績進捗を受け、NECは2026年度の通期業績予想を上方修正。売上収益を従来予想から2000億円増の3兆7400億円、Non-GAAP営業利益を300億円増の4600億円に引き上げた。

  • 第2四半期決算のポイント

    第2四半期決算のポイント

国内ITサービスはBluStellarが成長、海外はCSG連結で大幅増収

事業別では、ITサービスセグメントの上期売上収益が前年同期比9.5%増の1兆3305億円、Non-GAAP営業利益が同371億円増の1604億円となった。営業利益率は前年同期の10.1%から12.1%へ改善している。

国内ITサービスの売上収益は前年同期比0.8%増の1兆207億円とほぼ横ばいだった一方、Non-GAAP営業利益は同202億円増の1234億円となった。利益率は10.2%から12.1%へと1.9ポイント上昇した。

  • ITサービス 国内

    ITサービス 国内

増益をけん引したのが、NECのDX事業ブランド「BluStellar」だ。

国内ITサービスにおけるBluStellarの上期売上収益は前年同期比29.5%増の3583億円、Non-GAAP営業利益は同164億円増の545億円となった。営業利益率も13.8%から15.2%へ改善した。

説明会では、顧客の課題を一貫して解決するシナリオ型ビジネスが、システムのモダナイゼーションやセキュリティ領域を中心に拡大していることが説明された。加えて、アビームコンサルティングの事業も好調を維持しているという。

一方、BluStellar以外のベース事業は、売上収益が前年同期比10.0%減の6624億円となった。法人向けPCなどの低収益事業の収束や、前年度の消防防災・自治体システム標準化関連の特需の反動減、BluStellarへの事業シフトなどが影響しているという。

受注動向についても堅調に推移しており、国内ITサービスの第2四半期受注は、大型案件や特需、低収益事業収束の影響を除いた実質ベースで前年同期比4%増となった。

内訳を見ると、官公庁・自治体・通信向けのパブリック領域は同5%増、金融・製造・流通サービス向けのエンタープライズ領域は同10%増、アビームは同15%増となった。

特にアビームは、戦略コンサルティングやソリューション事業が好調で、前年に続いて2桁成長を維持している。

  • ITサービス 国内 受注動向:前年度比

    ITサービス 国内 受注動向:前年度比

海外ITサービスでは、CSGの新規連結が業績を押し上げた。売上収益は前年同期比53.1%増の3098億円、Non-GAAP営業利益は同169億円増の369億円となっている。

社会インフラは航空宇宙・防衛と海洋システムが好調

社会インフラセグメントも増収増益となった。

上期の売上収益は前年同期比20.3%増の3565億円、Non-GAAP営業利益は同226億円増の364億円となった。営業利益率は前年同期の4.6%から10.2%へと5.6ポイント改善した。

航空宇宙・防衛事業は引き続き好調を維持しており、売上収益は前年同期比19.4%増、Non-GAAP営業利益は同28億円増となった。

海洋システム事業は、売上収益が前年同期比80.3%増と大幅に伸長した。Non-GAAP営業利益も同171億円増となり、社会インフラ全体の増益に大きく寄与した。

海洋システムの増益には、売上拡大に加え、前年度に発生した約100億円の一過性費用がなくなったことも影響している。

説明会では、海洋システムの上期業績が会社の想定を上回ったことも明らかにされた。第2四半期の実績は、全社で売上収益、Non-GAAP営業利益ともに想定を約100億円上回った。 このうち、海洋システムは売上収益で約100億円、Non-GAAP営業利益で約50億円の上振れとなった。国内ITサービスでもNon-GAAP営業利益が約50億円上振れした。

しかし一方で、海洋システムについては、上期時点で通期の利益予想を上回る水準に達しているものの、NECは下期の業績を慎重に見積もっているという。

なお航空宇宙・防衛についても、四半期ごとの業績には変動があるものの、受注を含めた事業環境は引き続き好調を維持しているという。

  • 社会インフラ事業

    社会インフラ事業

通期売上収益を3兆7400億円に上方修正、CSG連結が寄与

NECは上期の業績進捗とCSGの連結効果を踏まえ、2026年度の通期業績予想を上方修正した。

売上収益は7月29日に公表した従来予想の3兆5400億円から2000億円増の3兆7400億円、Non-GAAP営業利益は4300億円から300億円増の4600億円とした。

Non-GAAP営業利益率は従来予想の12.1%から12.3%に改善する見通しだ。親会社の所有者に帰属するNon-GAAP当期利益も、従来予想から200億円増の3100億円に引き上げた。

  • 2026年度 業績予想 主要指標

    2026年度 業績予想 主要指標

セグメント別では、ITサービスの売上収益を1700億円増の2兆7950億円、Non-GAAP営業利益を250億円増の4060億円に修正した。

今回のITサービスの上方修正は、すべて海外事業によるものだ。

海外ITサービスの売上収益は従来予想の4500億円から6200億円、Non-GAAP営業利益は520億円から770億円へ引き上げた。CSGの新規連結による業績寄与を反映したもので、将来の事業拡大に向けた投資も織り込んでいる。

国内ITサービスについては、売上収益2兆1750億円、Non-GAAP営業利益3290億円という従来予想を据え置いた。

社会インフラでは、売上収益を従来予想から300億円増の8100億円、Non-GAAP営業利益を50億円増の1040億円に上方修正した。

内訳は、航空宇宙・防衛の売上収益を100億円、Non-GAAP営業利益を20億円引き上げ、海洋システムの売上収益を200億円、Non-GAAP営業利益を30億円引き上げた。

なお、NECは部材不足やマクロ経済環境の不透明性を踏まえ、期初の業績予想に織り込んでいた売上収益1000億円、Non-GAAP営業利益300億円のリスク対応枠(アローワンス)を維持している。

部材不足による上期の影響は、部材の確保や顧客との価格交渉などにより軽微にとどまったものの、中東情勢などを含めた先行きの不透明感は続いているという。

また、フリーキャッシュフローの通期予想は、CSG買収に伴う約3900億円のキャッシュアウトを反映し、従来の3000億円の黒字から900億円の赤字へと修正した。

  • 2026年度 業績予想 セグメント別

    2026年度 業績予想 セグメント別

AI企業との協業を加速、海底ケーブル事業でも大型案件を受注

決算説明会では、今後の成長に向けたAI関連の取り組みや海底ケーブル事業の動向についても説明された。

AI分野では、米AnthropicやGoogle Cloudなどのグローバル企業との協業を加速する一方、国産AIの開発力強化も進めている。

Anthropicとは2026年4月に協業を開始し、6月から同社のAIサービスの社内利用を開始した。利用者は約4カ月で1万5000人に拡大したという。

また、9月にはAnthropicの「Project Glasswing」に参加し、「Claude Mythos Preview」を活用した社内セキュリティの高度化にも着手した。

Google Cloudとの協業では、7月に「Google AI Threat Defense」にローンチパートナーとして参加。9月には「BluStellar Intelligent Managed Service」の提供を開始した。

同サービスでは、Google Cloudをはじめとするパートナー企業のAIや技術を組み合わせ、システム運用の各工程を接続することで、リスク診断の高度化や運用のAIネイティブ化を図る。

国産AIの開発では、次世代の国産AI基盤モデルの開発に向けた取り組みに参加している。NECは大規模言語モデル(LLM)を独自に開発してきた経験を生かし、フィジカルAIなどへの活用も視野に入れた開発を進める方針だ。

さらに、11月にはAIの利用コスト管理を支援する「cotomi Gateway」の提供を予定している。

AIの活用拡大に伴い、利用量やコストの増加、用途に応じたAIモデルの選択が課題となるなか、複数のAIモデルを使い分けることで品質とコストの最適化を図る。

  • グローバルAI企業との協業を加速し、国産AI開発を強化

    グローバルAI企業との協業を加速し、国産AI開発を強化

海底ケーブル事業では、世界初の商用ペタビット級光海底ケーブルシステム「PETAL」を受注したことも紹介された。

PETALは米国とフランスを結ぶ総延長約7000キロの大西洋横断海底ケーブルで、2029年の運用開始を予定している。

マルチコアファイバー対応技術を採用し、毎秒1ペタビット級の大容量伝送を実現する計画だ。

  • 世界初の商用ペタビット級光海底ケーブルシステム「Petal」を受注

    世界初の商用ペタビット級光海底ケーブルシステム「Petal」を受注

NECによると、AIやクラウドの普及を背景に国際通信の需要は拡大しており、今後10年間で国際通信の伝送量は約6倍になると見込まれている。

同社は、マルチコアファイバー技術によって1本のケーブル当たりの伝送容量を拡大し、敷設費用や保守運用費用の削減につなげる考えだ。

NECは、国内ITサービスの収益性改善や海外事業の拡大、社会インフラ領域の需要を取り込みながら、2026年度の通期業績予想の達成を目指す。