Windows Latestは2026年9月17日(現地時間)、「Microsoft Azure CTO used AI to port 20-year-old Windows tool to macOS in two days: "I was flabbergasted"」において、Windows用ツール「ZoomIt」がたったの2日でmacOSに移植されたと報じた。

この移植作業はMicrosoft Azure最高技術責任者(CTO: Chief Technical Officer)を務めるMark Russinovich氏によって実施された。作業は週末の2日間だけで完了し、その作業はAIによって実現されたという。

  • AIを活用してWindows版から移植したmacOS版ZoomItを紹介するMark Russinovich氏(出典:Microsoft)

    AIを活用してWindows版から移植したmacOS版ZoomItを紹介するMark Russinovich氏(出典:Microsoft)

12回ほどのプロンプトで基盤を構築、完成度は「90%以上」

ZoomItは画面の拡大表示や描画、画面録画などに対応する軽量ツールで、技術者や講師のプレゼンテーションなどに利用されている。開発のきっかけは、Russinovich氏がWindowsの内部構造に関する講義を担当していた際、大勢の聴衆にわかりやすい説明を示す便利なツールが必要だったためとされる。

長らくWindows専用ツールとして提供されてきたが、Microsoft社内ではmacOS版を求める声が出ていた。しかし同氏はmacOS版を作る時間はないと考えていた。

最近になり重い腰を上げた理由はAIの存在だったという。macOS版の開発を決意した同氏は、約1時間かけてMacをセットアップし、AIによる開発に着手した。当初は数カ月かけて開発する予定だったとされる。

Russinovich氏は、動作を確認しながら段階的にmacOS版を構築するため、AIへの指示をおよそ12回のプロンプトに分けた。ZoomItの基盤部分の構築は約30分で完了したという。

その後も週末を通じて機能を追加した。DemoTypeについては当初、利用者が少ないと考えて移植対象から外していたが、需要があることが分かり、後からAIを使って追加した。

WindowsとmacOSはインターフェイス、システム権限、スクリーンショット、キー入力などに異なる仕組みを採用している。AIではこの部分の移植に問題があり、調整が必要だったとされる。同氏はその後も作業を続け、翌日までに休憩タイマー、パノラマスクリーンショット、ビデオ録画および編集機能の追加にも成功した。

Windows Latestは移植作業が短時間に成功した理由として、「Windows版コードの存在」を挙げた。何もないところからClaude Codeを開いて「macOS版のZoomItを作成せよ」と指示しても同じ結果は期待できないと指摘する。

AIはコードを生成する際に「構造と機能」を理解する必要がある。今回はWindows版のコード解析によってこれら情報を入手できたことが大きく影響した。

なお、前述の調整作業は、Russinovich氏が自らの知識でコードを修正したわけではない。Russinovich氏は、本来であれば自ら学ぶ必要があったmacOS固有の仕組みについて、「何も学ぶ必要はなく、すべて処理してくれた」と説明している。

公開後には複数の不具合報告、AI生成コードには課題も

既存コードの移植にAIは有効なツールと言える。少なくとも開発者自身の環境で、それなりに動作するコードを自動で生成することができる。しかし完全に信用できるかと言うと、その段階にはまだ到達していない。

公開されたGitHubリポジトリを確認すると、すでにIssuesに複数の不具合が報告されている。将来的にこれら問題は減少していくと予想されるが、現時点のAI生成コードには課題が多く残されている状況だ。