この半導体ニュースのまとめ
・世界の半導体・IC実装材料市場は2025年の503億2000万ドルから2030年に861億5000万ドルへ拡大
・2026年から2030年までの年平均成長率は11.3%となる見通し
・AI向け先端パッケージングやEV、自動運転、高効率放熱材料が市場成長をけん引
市場調査会社のThe Business Research Company(TBRC)は9月15日、世界の半導体・IC実装材料市場に関する調査レポート「Semiconductor And Integrated Circuit(IC) Packaging Materials Global Market Report 2026」を発表した。
同レポートによると、同市場は2025年の503億2000万ドルから2026年には前年比11.7%増の562億ドルへ拡大する見通し。さらに、2026年から2030年まで年平均成長率11.3%で成長し、2030年には861億5000万ドルに達すると予測している。
AI半導体の高性能化で実装材料の重要性が拡大
半導体・IC実装材料は、半導体チップを外部環境から保護するとともに、パッケージ基板やプリント基板との電気的な接続、放熱、機械的な支持を担う材料である。
主な製品には、有機パッケージ基板、ボンディングワイヤ、リードフレーム、封止樹脂、セラミックパッケージ、ダイアタッチ材料、はんだボールなどが含まれる。
生成AIの普及に伴い、AIアクセラレータやサーバー向けCPU、HBMなどを1つのパッケージへ高密度に集積する先端パッケージングの需要が拡大している。
大型化・多層化するパッケージ基板では、反りを抑えながら微細な回路や接続部を形成し、高速な信号伝送と安定した電力供給を実現する必要がある。半導体の発熱量も増加しているため、チップから発生する熱を効率良く逃がす材料の重要性も高まっている。
TBRCでは、高性能コンピューティング向けの先端実装需要と、高効率な放熱材料への需要増加を、2030年までの市場成長を支える主な要因に挙げている。
複数チップを統合する3.5D SiPが市場トレンドに
同レポートは、高密度インターコネクトと先端基板を用いて複数のチップやチップレットを単一パッケージへ統合する3.5Dシステム・イン・パッケージ(SiP)を、市場を特徴付ける技術トレンドとして挙げている。
AI半導体では、単一チップの微細化だけで性能を高めるのではなく、異なるプロセスで製造したロジック、メモリ、入出力機能などをチップレットとして組み合わせる異種集積が進んでいる。
チップレット間を高密度かつ低遅延で接続するには、パッケージ基板やインターポーザ、再配線層、マイクロバンプ、接合材料などを一体で最適化する必要がある。
集積するチップ数やパッケージ面積が拡大するほど、材料間の熱膨張率の違いによる反りや応力、接続信頼性、熱管理が課題となる。このため、先端パッケージングの拡大は、実装材料の使用量だけでなく、材料に求められる性能も高めることになる。
EVと自動運転も市場拡大を後押し
EVや自動運転システムの普及も、半導体・IC実装材料市場の成長を支える見通し。
EVにはインバータやバッテリ管理システム、車載充電器、DC-DCコンバータなどが搭載されるほか、自動運転や先進運転支援システムでは多数のカメラ、レーダー、センサ、演算用半導体が使用される。
車載用半導体は、高温、高湿度、振動、繰り返される温度変化などの環境で長期間動作する必要がある。そのため、封止樹脂、ダイアタッチ材料、パッケージ基板などにも高い耐熱性や接続信頼性が求められる。
パワー半導体ではSiCの採用拡大や800V・1000V化に伴って動作温度や電力密度が高まっており、熱を効率良く伝えるとともに、チップと基板の接続を維持できる実装材料の開発が重要となっている。
小型化と放熱性能の両立が材料開発を促進
スマートフォンやタブレット、ノートPCなどの民生機器では、小型・薄型化と高機能化が同時に進んでいる。
限られた内部空間へ多数の半導体や電子部品を搭載するには、パッケージ自体を薄くするとともに、端子間隔を狭めて実装密度を高める必要がある。
一方、部品を高密度に配置すると熱が集中しやすくなる。放熱が不十分な場合、半導体の処理性能が制限されるほか、製品寿命や信頼性へ影響する可能性もある。
このため、薄型化や微細接続に対応しながら、熱伝導性や耐熱性、絶縁性を高めた材料への需要が拡大する。AIサーバーや車載機器だけでなく、民生機器においても、実装密度と放熱性能を両立する材料開発が競争力を左右することになる。
2025年はアジア太平洋地域が最大市場
地域別では、2025年時点でアジア太平洋地域が世界最大の半導体・IC実装材料市場となった。
アジア太平洋地域には、ファウンドリやメモリメーカーに加え、OSAT、パッケージ基板メーカー、電子機器メーカーなどが集積している。スマートフォンやPCをはじめとする民生機器の生産拠点も多く、実装材料の需要を支えている。
一方、2026年から2030年までの予測期間では、北米が最も高い成長率を示すと予測されている。AIデータセンターへの投資や先端半導体の生産能力増強、国内サプライチェーン構築に向けた投資などが市場を押し上げるとみられる。
TBRCでは、民生機器の需要に加え、AI向け高性能コンピューティング、EV、自動運転、世界的な半導体生産能力の拡大を背景に、半導体・IC実装材料市場が2030年に向けて2桁成長を続けると予測している。
