ハワイ諸島の近海にしか生息しないと考えられていたアンコウの仲間の深海魚が、沖縄・南大東島沖で見つかった。琉球大学と海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの研究グループが無人探査機で発見し、「シマグツ」という和名を提唱した。琉球大学理学部海洋自然科学科の小枝圭太助教(魚類学)は「正面から見るとかなりかわいい」と喜ぶ。

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    南大東島の沖合で見つかった体長約10センチのシマグツ(琉球大学提供)

南大東島はハワイ諸島や小笠原諸島と同様、一度も陸続きになったことがない「海洋島」だ。周辺の海底は岩でできており、砂地はほとんどない。2025年7月、無人探査機クラムボンが南大東島沖で海中の洞窟を探索していたところ、水温6度、水深760メートルの斜面に薄い赤色のアカグツ科の魚がいるのを見つけた。

この魚はハワイで1905年に新種記載されたもので、ハワイ諸島の固有種だと考えられていた。今回、南大東島沖で見つかったことについて、小枝助教は「大きくなって移動したとは考えにくい。卵や孵化した後の小さな頃に、海流で分散したのではないか」としている。

日本語の名称(和名)がなかったため、「島のヒキガエル」を意味する「シマグツ」を提唱した。先端が3~4つに分かれたトゲがうろこにあり、敵から身を守っていると考えられている。鼻に「ぼんぼり」のようなふくらみがあり、匂いなどを出してエサをおびき寄せているという説がある。

琉球列島の周りには強い黒潮の流れがあり、その潮流で島から島に移る生物もいる。ただ、南大東島は沖縄本島から400キロほど離れていて、黒潮の影響をあまり受けない。

小枝助教は「沖縄本島や八重山諸島にはいないのに、ハワイ・小笠原・南北大東島にだけ共通する生き物や、その逆もいて面白い。海はつながっているが、外洋の何もないところで遠く離れた島から島へと渡るのは難しいので、なにかしらのメカニズムが存在するはず。島の生き物の分布がどことどのようにつながっているのか調査を続けたい」と話した。

研究は深海カルスト調査プロジェクト「D-ARK」の一環で実施。笹川平和財団オーシャンショット助成事業、日本学術振興会の科学研究費助成事業と、科学技術振興機構(JST)CRESTの助成を受けて行われた。成果は8月6日、日本動物分類学会の学会誌「スピーシーズ ダイバーシティ」(電子版)に掲載され、同日、琉球大学が発表した。

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