みなさんこんにちは! 今年の4月から日本科学未来館の科学コミュニケーターとして働き始めた灘綾乃です。このページを開いていただきありがとうございます!
ところでみなさんは、科学コミュニケーターという仕事について聞いたことはありますか? 「未来館で見かけたことがある!」という方もいれば、「何をしている人かよくわからないなぁ」という方もいると思います。そこで、科学コミュニケーターがどんな仕事をしているのか知ってもらい、その楽しさを感じてもらうために、科学コミュニケーターの仕事を体験できる子ども向けイベントを、今年の7月に開催しました。参加者は小学4~6年生です。このブログでは、参加者である子どもたちが科学コミュニケーションに挑戦する姿を振り返りながら、イベント当日の様子をお届けします。
科学コミュニケーターの仕事とは?
はじめに、「科学コミュニケーターって何をしている人だと思う?」という質問を参加者のみなさんに聞いてみました。すると、「展示の説明をする人!」「イベントをしている人!」など、さまざまなイメージを教えてくれました。もちろんこれらの答えも大正解なのですが、わたしたち科学コミュニケーターは展示解説やイベントといったひとつひとつの仕事を通して、「さまざまな人と科学について語り合って、未来のことをいっしょに考える」ことを目指しています。
とはいえ、参加者がいきなりこの目標を達成するのは大変なので、このイベントでは「考える」、「話す」、「発見する」という3つのステップを踏んで、科学コミュニケーターの仕事を体験してもらいました。
考える ~話す準備をしよう!~
お客さんとお話しして未来のことをいっしょに考えるには、しっかりと準備をすることが大切です。参加者は未来館の歴史や展示エリアのコンセプトについて説明を聞いた後、実際に展示場へと足を運び、それぞれの展示について詳しく学びました。お客さんとお話しするためには、展示の内容はもちろん、展示がつくられた背景や展示を通して伝えたいメッセージも、知っておくことが重要です。現役科学コミュニケーターから展示の説明を聞く参加者の目は真剣そのもの。説明を聞いて、「これをお客さんに伝えたい!」、「お客さんにこんな質問をしてみたい!」というポイントも見つかったようです。
展示について学んだ後は、お客さんとお話しするための台本づくりにチャレンジです。「短く、簡単に」を意識して、展示のコンセプトやポイントを伝える説明文をつくりました。それから、お客さんとお話しするうえで最も重要な「お客さんに投げかけたい問い」を考えます。ただ一方的に展示の説明をするだけでは、「さまざまな人と科学について語り合って、未来のことをいっしょに考える」ことはできません。「どんな聞き方をしたらお客さんが答えやすいかな?」、「お客さんはどんなことに興味があるかな?」などなど、試行錯誤しながらお客さんへの問いを考えました。中には、「二酸化炭素に対するイメージはありますか?」、「オリジナルの災害対策はありますか?」など、わたしたち現役科学コミュニケーターが思いつかなかったような問いもあり、参加者のみなさんの発想力に驚かされました。
台本が完成したら、実際に話す練習をしました。他の参加者や未来館のスタッフにも来館者役になってもらい、展示の説明や問いかけを練習しました。中には、練習をもとに自分の台本をアップデートする人も! 参加者のみなさんの本気度が伝わってきました。
話す ~お客さんと未来について語り合おう!~
練習ができたら、いよいよお客さんとお話ししに展示場へと向かいます。練習の成果もあり、臆することなくお客さんに話しかける参加者の姿が多く見られました。
お客さんとの会話に慣れてくると、お客さんの興味関心に合わせて紹介する展示物を変えるなど、話し方を工夫している参加者もいました。相手のことを考えながらコミュニケーションをとることは、科学コミュニケーターに限らず、普段の生活でもとても大事なことだと思います。参加者のみなさんの姿を見て、改めてその大切さに気づくことができました。そして、7月25日と27日の2日間、「1日科学コミュニケーター」たちと快くお話ししてくださった来館者のみなさん、ありがとうございました。
発見する ~お客さんと語り合って発見したことを振り返ろう!~
お客さんとお話しした後は、体験を通して発見したことを振り返り、参加者同士で伝え合いました。まずは、お客さんとお話しする中で気づいたことや考えたことを、それぞれのワークシートに記入してもらいました。A4サイズの紙から、はみ出んばかりのたくさんの発見があったようです。
振り返りができたら、とくに伝えたい発見を選んで、ほかの参加者に向けて発表しました。ロボットに対するお客さんの気持ちや、お客さんに教えてもらった環境問題に関する知識、さらにはお客さんへの話しかけ方まで、さまざまな視点からの発見が盛りだくさん! 中には、「海外からのお客さんも環境問題に関して日本と同じ取り組みをしている」というユニークな発見もありました。韓国から来たお客さんもごみの分別をして、環境保護に取り組んでいるそうです。
いろいろな背景をもつお客さんとのお話から新しい気づきを得ることは、科学コミュニケーターならではの発見です。参加者のみなさんの発表から、「お客さんと科学について語り合い、未来のことをいっしょに考える」ことができた様子が伝わってきました。
最後に
実はこのイベントには、わたしたち現役科学コミュニケーターの「たくさんの人とお話しして、さまざまな考えを知ることができる楽しさを知ってもらいたい」という思いも込められていました。アンケートでは、「もっといろんな人と話して考えを広げたい」、「いろんな意見が聞けて楽しかった!」というコメントが多く寄せられました。このイベントを通じて、科学コミュニケーターの仕事の楽しさを感じてもらえたのではないかと思います。その楽しさを胸に、科学コミュニケーターの仲間として、これからもいっしょに未来のことを考えていけたら嬉しいです。
参加者のみなさん、1日科学コミュニケーター体験に参加していただき本当にありがとうございました! また未来館でお会いしましょう!
そして、ここまでブログを読んでくださったみなさんもありがとうございます!
いつか未来館でみなさんとも科学や未来のことについていっしょに語り合える日が来ることを、楽しみにしています!

執筆: 灘 綾乃(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
【担当業務】
アクティビティの企画・運営全般に携わり、来館者への展示解説や対話活動、情報発信を行う。
【プロフィル】
いろいろな「古い」ものが好きで、幼少期は恐竜、中高生になってからは世界史が大好きでした。「気候変動が歴史にどんな影響を与えたのか」というテーマに興味をもち、大学では古気候学を学びました。その後、学習塾の講師として数学や理科を教える経験を経て、「1人でも多くの人と科学の面白さを共有したい!」という思いから未来館へ。みなさんの知的好奇心をくすぐる科学コミュニケーターになるべく、日々勉強中です。
【分野・キーワード】
環境学 古気候学 教育






