こんにちは。科学コミュニケーターの大谷です。

今年の夏も暑いですね。熱中症に気をつけながら、やっぱり外でも遊びたい。そんな時にやることといえば……そう、生き物観察です!

前回のブログでは、私が最近、未来館周辺で生き物観察を始めたこと、そして意外にもたくさんの生き物を見つけることができたことをご紹介しました。また、市民科学ツール「iNaturalist」についても紹介しました。

今回はその続編です。

前回は未来館の周辺だけでも「こんな生き物までいるの!?」という発見がたくさんありました。それなら、お台場のほかの場所も探してみたらどうなるんだろう?

ということで、ついに未来館を飛び出して、生き物を探しに行ってきました!

 

……とはいえ、飛び出した先は未来館から徒歩約15分。

今回は、お台場に点在する公園を巡って、生き物探しをしてきました。

東京・お台場は都心の埋め立て地として知られていますが、いったいどれくらいの生き物が暮らしているのでしょうか? さっそく見ていきましょう!

お台場の海?: お台場海浜公園

お台場には、いつでも海と親しめる人工海浜があります。それがあるのはお台場海浜公園です。ここでは海の生き物も観察することができます。

お台場海浜公園の砂浜。休日は多くの人で賑わう。

公園に着き、さっそく観察開始!……といきたいところですが、生き物を観察するときは、その場所のルールを守ること、そして周りの人に迷惑をかけないことが大切です。

お台場海浜公園では、公園の環境保全の妨げとなるような行為は禁止されています。そのため、観察は最低限にとどめ、観察した生き物はすみやかに元いた場所へ返しました。

また、この日はデートを楽しむ人や砂遊びをする子どもたちでにぎわっていました。せっかくのお出かけの邪魔にならないよう、人の少ない場所を選んで観察を始めます。

まずは浜辺の波打ち際を歩くと、……やはりいますね。思った通り、海の生き物を観察することができました。なにやら小さい生き物が群れています。

左:なにやら小さい生き物がたくさん群れている。
右:その正体はニホンイサザアミという甲殻類。エビに似ているがエビの仲間ではない。多くの魚やイカなどの餌になっており、海の生き物たちを支えている。

次は岩場です。岩の下は絶好の隠れ場所になるため、生き物が隠れている可能性が非常に高いです。小さな岩をそっと持ち上げてみると……。

東京湾の海岸でおなじみの生き物たち。波打ち際や岩場をのぞくだけでも、これだけの種類に出会うことができた。
エビの仲間もいろいろ。イボニシという巻き貝は、ほかの生き物が姿を見せてくれない日でも、たいてい出迎えてくれる頼もしい存在である。
トサカギンポは名前の通り、頭にとさかがあるのが特徴。顔のストライプ模様もおしゃれ。見つかるとうれしい。

などなど、10種類以上の海の生き物を観察することができました。いやはや、思っていたより多くの生き物が見つかりましたね。

 

ところで、久しぶりに海で遊ぶと、思った以上に疲れますね。こういうときはちゃんと休憩をしないと翌日に響きそうです。

というわけで、海での観察を終え砂浜で休憩をしていると、砂浜にもたくさんの虫が飛んでいることに気がつきました。

砂浜で見つかった虫たち。どうやらオオフタバムグラという花の蜜を吸っているようだ。

都会にいながら、こうして海と親しみ、生き物を観察できる場所があるのはうれしいですね。

砂浜では、生き物を探している子どもたちの姿も見かけました。

「ああ、自分もあんなことをして遊んでいたなあ」 と思いながら眺めていたのですが、よく考えたら、大人になった今もやっていることはほとんど変わっていませんでした。

自分でも理由はよく分かりませんが、それくらい、生き物を探して観察するというのは楽しいことなのでしょうね。

お台場の森?: 青海緑道公園・青海中央ふ頭公園

お台場には、ほかにもいくつか公園があります。その中でも青海緑道公園・青海中央ふ頭公園は、その名のとおり、まるで森の中を歩いているような雰囲気です。

私が訪れたのは、梅雨が明け、太陽が絶好調に照りつける7月中旬。それでも園内は木陰が多く、涼しいので、とても気持ちよく散策できました。

青海緑道公園。木漏れ日の中を歩いていると、ここがお台場であることを忘れてしまう。少年時代に駆け回った、“あの夏の森” を思い出させる景色だ。

もちろん、ここでも生き物を探します。

セミの声はあちこちから聞こえてくるものの、それ以外は静かな森。一見すると、生き物の姿は見当たりません。

こういうときは、神経を集中させて、生き物たちの気配を探ります。

…………。

 

だめですね。

聞こえてくるのはセミの大合唱だけ。しかもみんな木の高いところで鳴いているようで、声はすれども姿は見えず、です。

 

そんな中、ふと木の葉の間を見ると、大小さまざまなクモが巣を張っていました。中には鮮やかなオレンジ色の個体もいます。iNaturalistで調べてみると、ヒメグモ属の一種のようでした。これまであまりクモを意識して観察したことはありませんでしたが、よく見ると色も形もさまざまで面白いですね。今後はクモも積極的に探してみようと思います。

青海緑道公園・青海中央ふ頭公園では、探し回った末にアブの仲間やアオスジアゲハを見つけることができた。しかし、どれも動きが素早く、近づくとすぐに逃げてしまうため、写真を撮るのには苦労した。

ほかにも何種類かの虫を観察できたので、「今日はこのくらいかな」と帰ろうとしたその時、視界の端で、青い影がカサカサッと横切りました。

目を向けると、そこにいたのはトカゲでした。

まさか、お台場でトカゲに出会えるとは思っていませんでした。こういう予想外の出会いがあるから、生き物観察はやめられませんね。

ヒガシニホントカゲの子供。黒い光沢のある体と青い尾が本当に美しい。

お台場の池?: 青海南ふ頭公園

最後に訪れたのは、青海南ふ頭公園です。

ここは庭園風につくられた落ち着いた雰囲気の公園で、散策にもぴったりの場所です。そして、この公園の大きな特徴は、園内にいくつかの水場があることです。

青海南ふ頭公園の水場。噴水の周りにも水生昆虫がいたのには驚いた。

もちろん、水場があれば生き物を探さないわけにはいきません。

眺めていると、さまざまなトンボが飛び交い、水中には水生昆虫たちの姿も見られました。都会の公園であっても、水場があるだけで、そこには多くの生き物が集まってきます。改めて、水場は生き物たちにとって大切な環境なのだと実感しました。

水場には、卵を産むためにトンボの仲間があつまる。他にも数種類のトンボが見られた。

3つの公園で見つけた生き物、種の合計は……

さて、今回は未来館を飛び出して、お台場にある3つの公園を巡り、生き物を探してきました。

そこで私が見つけた生き物は、なんと50種以上!

もちろん、これは私が見つけることができた生き物だけです。探す人が変われば、季節が変われば、見つかる生き物もきっと変わります。

つまり、お台場には、まだまだたくさんの生き物が暮らしているということですね。

他の科学コミュニケーターも見つけていた!

実は、お台場で生き物を探していたのは私だけではありませんでした。

先輩科学コミュニケーターの片岡さんも、通勤中など、ふとしたときに未来館周辺の公園で生き物観察をしていたのです。

私とは少し違う場所や視点で観察していたようで、私が見つけられなかった虫たちもたくさん記録していました。人によって、探す場所や目のつけどころはちがうもの。だからこそ、みんなで探せば、一人では見つけられなかった生き物にも出会えそうです。

先輩科学コミュニケーターが撮影した虫たち。私がまだ見つけていないものも多い。なかなか先輩にはかなわない。

都心にも、まだまだ知らない生き物がいる

図鑑やスマホを片手に観察を続けていますが、次から次へと知らない生き物に出会います。

お台場は高層ビルや商業施設が立ち並ぶ都会ですが、少し足元や木の葉、水辺に目を向けるだけで、そこにはたくさんの生き物たちの暮らしがあります。

「こんなところにも生き物がいたんだ。」

そんな発見があるだけで、いつもの景色が少し違って見えてくる気がします。

私も、まだ見ぬ生き物を探しに、そして、すでに知っている生き物をもっと深く知るために、これからも観察を続けていきます。

いつか、みなさんと一緒にお台場で生き物観察ができる日が来たらうれしいです。

そのときは、ぜひ一緒に、生き物たちを探しに行きましょう。



Author
執筆: 大谷 朋己(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
【担当業務】
アクティビティ企画全般に携わり、展示解説や対話活動を行う。生成AIをテーマにした企画展 (Mirai can NOW第9弾「AIとえがく?わたしスタイル in 20XX」) の体験開発などを行った。

【プロフィル】
魚を中心に生き物が好きで、大学卒業後に水族館の飼育員として4年間勤務しました。生き物についての解説や教育活動に関心があり、その経験を活かして科学コミュニケーションに挑戦したいと思い、未来館へ。現在は、「生き物を通じた対話の場をつくる」ことを目指して勉強中です。

【分野・キーワード】
魚類、水生生物、海洋、環境教育