この半導体ニュースのまとめ

・村田製作所が世界最小クラスとなる0603Mサイズの3端子低ESLコンデンサを量産
・従来の最小品である1005Mサイズと比べて実装面積を約64%削減
・低ESL特性によって高周波領域の電圧変動を抑え、高性能ICの安定動作に貢献

村田製作所は9月30日、3端子低ESLチップ積層セラミックコンデンサ(MLCC)として世界最小クラスとなる0603Mサイズ(0.6mm×0.3mm)の「LLDシリーズ」を開発し、量産を開始したことを発表した。

同社従来品で、これまで最小サイズだった1005Mサイズ(1.0mm×0.5mm)の3端子コンデンサと比べ、実装面積を約64%削減した。スマートフォンやスマートウォッチ、ウェアラブル機器など、基板スペースが限られる小型電子機器への搭載を想定する。

製品として、静電容量1μF、定格電圧4Vdc、使用温度範囲-55~85℃の「LLD033R60G105ME01」と、静電容量1μF、定格電圧2.5Vdc、使用温度範囲-55~105℃の「LLD033D80E105ME01」を用意する。

  • 「LLDシリーズ」

    0603Mサイズの3端子低ESL積層セラミックコンデンサ「LLDシリーズ」 (出所:村田製作所)

3端子構造で高周波領域の電圧変動を抑制

電子機器に搭載される高性能ICでは、大容量のデータを短時間で処理するため、高い周波数の信号を扱う必要がある。

ICの処理負荷が変化すると、必要となる電流も短時間で大きく変動する。電源から必要な電流を素早く供給できなければ、ICへ供給する電圧が変動し、動作の安定性に影響を与える可能性がある。

コンデンサ内部や端子には、電流の急激な変化を妨げるインダクタンス成分が存在する。この成分を等価直列インダクタンス(ESL)と呼び、ESLが低いほど高周波領域でも電流を素早く供給しやすくなる。

一般的なMLCCが2つの外部端子を備えるのに対し、3端子コンデンサは電流の経路を短くし、複数の短い電流経路を形成できる構造を採用する。これによりESLを低減し、高性能ICの近傍で電源電圧の変動を抑制できる。

LLDシリーズは、3端子構造による低ESL特性を維持しながら0603Mサイズまで小型化することで、高周波領域におけるICの安定動作と基板の省スペース化を両立した。

電極構造の最適化と製造プロセスの高度化で小型化

スマートフォンやウェアラブル機器では、高性能化や多機能化に伴って搭載部品が増える一方、機器本体の薄型化や小型化も進んでいる。

限られた基板スペースへ多数の電子部品を配置する必要があるため、IC周辺で使用するコンデンサにも小型化が求められている。

しかし、3端子コンデンサは一般的な2端子コンデンサと比べて内部電極や外部電極の構造が複雑で、小型化が難しいという課題があった。

村田製作所は、電極構造の設計最適化と製造プロセスの高度化によって、3端子構造を維持したまま0603Mサイズを実現したとする。

主なターゲットとしては、スマートフォンやスマートウォッチをはじめとするモバイル機器、ウェアラブル機器への搭載を想定する。

小型電子機器では、アプリケーションプロセッサや通信用ICなどの高性能化が進み、高周波領域における電源電圧の安定性が重要になっている。同時に、バッテリー容量やディスプレイ、センサなどの搭載スペースを確保するため、基板上の受動部品を小型化する必要もある。

LLDシリーズを高性能ICの近傍へ配置することで、負荷変動時に必要な電流を素早く供給し、電源電圧の変動を抑えながら、基板上の実装面積を縮小できる。また、使用温度の上限が105℃となる2.5Vdc品も用意することで、機器内部の発熱や実装位置など、利用環境に応じた製品選択を可能としたとする。

なお同社は今後も、モバイル機器やウェアラブル機器に向け、小型かつ高性能なMLCCの開発を進め、電子機器の小型化、高性能化、多機能化に貢献していくとしている。