この半導体ニュースのまとめ
・TSMCがテキサス州に最先端ファブ6棟を建設する米国第2拠点構想を検討か?
・投資額はアリゾナ拠点の2650億ドルを上回るとされるが、実現は2030年代以降との見方
・台湾塑膠工業は米国で高純度塩酸、台湾で高純度硫酸の生産拠点整備を計画
TSMCが米国での半導体生産体制拡大に向け、アリゾナ州に続く第2の製造拠点をテキサス州に構築する計画を検討していると、複数の台湾メディアが報じた。台湾の半導体製造装置サプライチェーン関係者によると、投資総額はアリゾナ工場の2650億ドルを上回り、最先端ファブ6棟を建設する構想で、TSMC取締役会の承認待ちだという。
背景には、Apple、NVIDIA、Intel、AMDなどによるAI・HPC向け需要の拡大や、米トランプ政権の関税政策、台湾における水・電力・土地・人材の制約があるとみられる。2026年上半期の売上高に占める米国顧客の割合は約75.64%とされ、顧客への近さや関税リスクの回避が米国投資の重要な検討材料となっている。
テキサス州ダラスおよび北部地域は、半導体製造、光通信、軍需産業の集積が進み、「シリコンプレーリー」と呼ばれる。豊富な人材や比較的安定した電力供給、低い州税負担も利点とされ、アリゾナ州が抱える水・電力・労働力不足を回避できる可能性がある。
ダラス北方のシャーマンでは、GlobalWafersが米国最大の300mmシリコンウェハ工場を稼働させており、材料から半導体製造までの供給網が整いつつある。TSMCがテキサス州への進出を決めれば、製造装置や材料、薬液を供給する台湾企業の米国投資を促し、現地調達体制の構築が一段と進む可能性もある。台湾の半導体業界では、テキサス拠点にアリゾナ工場より微細なプロセスが導入される可能性も指摘されている。
一方、TSMCはアリゾナ州で先端半導体と先端パッケージングを合わせて少なくとも12施設を整備する計画を進めている。さらにテキサス州へ大型投資を行うことには、資金面や生産能力計画上の疑問も残る。構想が実現するとしても2030年代以降で、AI需要の動向に左右されるとの見方がある。
台塑が米台で半導体用高純度薬液を増産へ
台湾塑膠工業(台塑:Formosa Plastics)は、台湾紙業と米国で合弁会社「FTA Tech」を設立し、テキサス州で半導体製造向け高純度塩酸を生産する計画だという。資本金は3810万ドルで、台湾紙業が50%、台塑と台塑の米国子会社が各25%を出資する。
新工場は台塑のテキサス工場周辺に建設し、設備投資額は1億2980万ドル。台塑の米国子会社が生産する食品グレード塩酸を高純度化し、ウェハ表面の金属汚染物質を除去する電子グレード塩酸を製造する。稼働は2028年12月以降を予定する。
また、薬液は品質維持や輸送時の管理負担が大きいため、半導体工場に近い地域で現地生産する意義も大きい。台塑の計画は、米国で拡大する半導体サプライチェーンへ台湾の材料技術を組み込む動きの一例といえる。
台塑はTSMCを含む米国での半導体投資を背景に、電子グレード塩酸の需要が今後10年間で年平均9.5%成長すると予測する。台湾紙業は台南市で電子グレード塩酸を生産し、台湾、韓国、シンガポールの半導体メーカーへ供給している。
台塑は台湾でも、台湾中華化学工業などと半導体向け高純度硫酸の合弁会社を設立する計画である。資本金は60億NTドル、設備投資額は68億NTドルで、第1期を2028年12月、第2期を2030年に稼働させる予定としている。
高純度硫酸は、ウェハ洗浄、レジスト剥離、エッチング後洗浄、CMP後洗浄などに使用される。プロセスの微細化に伴う洗浄工程の増加を受け、台塑は2028年に台湾域内の需要が供給能力を上回るとみており、米国の高純度塩酸と台湾の高純度硫酸を通じて半導体製造用薬液事業を拡大する狙いとみられる。