この半導体ニュースのまとめ

・Micronの2026会計年度通期売上高は前年度比約3.6倍の1331億8800万ドル
・データセンター売上高が4倍、第4四半期のCDBUは粗利益率90%を記録
・2027~2028年の供給不足を見込み、DRAMクリーンルームなどへの投資を拡大

Micron Technologyは9月30日(米国時間)、2026会計年度第4四半期(2026年6~8月)ならびに通期(2025年9月~2026年8月の決算を発表した。

2026会計年度第4四半期の売上高は542億2900万ドルで、前四半期比31%増、前年同期比379%増となり、6四半期連続で過去最高を更新した。GAAPベースの粗利益率は86.8%、営業利益は437億5100万ドル、純利益は377億100万ドル、希薄化後1株当たり利益(EPS)は32.87ドルとなった。

通期売上高は前年度比約3.6倍の1331億8800万ドル。GAAPベースの粗利益率は80.7%、営業利益は993億4000万ドル、純利益は849億6900万ドル、希薄化後EPSは74.33ドルとなった。

Non-GAAPベースでは、通期の粗利益率が81.1%、営業利益が1011億9100万ドル、純利益が867億5800万ドル、希薄化後EPSが75.52ドル。営業キャッシュフローは896億7500万ドル、調整後フリーキャッシュフローは623億800万ドルを記録した。

  • Micron Technologyの2026会計年度第4四半期と通期の売上高

    Micronの2026会計年度第4四半期および通期の売上高。第4四半期は前四半期比31%増、前年同期比379%増の542億ドル、通期は前年度比256%増の1332億ドルとなり、いずれも過去最高を更新した (出所:Micron Technology)

AI需要でデータセンター売上高が4倍

Micronの会長兼社長兼CEOであるSanjay Mehrotra氏によると、2026会計年度のデータセンター売上高は前年度比で4倍に拡大したという。

大規模AIモデルのパラメータ数の増加やコンテキスト長の拡大、同時利用数の増加により、AIワークロードの実行に必要なメモリ容量とストレージ容量が増加している。Micronは、AIプラットフォームの性能や利用価値を左右する要素として、メモリとストレージの戦略的重要性が高まっていると説明する。

第4四半期のCloud Memory Business Unit(CMBU)の売上高は162億8300万ドルで、全社売上高の30%を占めた。Core Data Center Business Unit(CDBU)の売上高は180億200万ドルで、同33%を占め、前年同期の約11.4倍となった。

CDBUのNon-GAAPベースの粗利益率は90%、営業利益率は85%となり、4つの事業部門で最大の売上高と利益率を記録した。

Mobile and Client Business Unit(MCBU)の売上高は131億1400万ドル、Automotive and Embedded Business Unit(AEBU)は68億2400万ドルとなり、すべての事業部門で過去最高の売上高を記録した。

  • Micron Technologyの2026会計年度第4四半期における事業部門別業績

    Micronの2026会計年度第4四半期における事業部門別業績。Cloud Memoryの売上高は162億8300万ドル、Core Data Centerは180億200万ドルとなり、Core Data Centerの粗利益率は90%、営業利益率は85%に達した (出所:Micron Technology)

DRAM売上高は1000億ドルを突破

2026会計年度通期のDRAM売上高は1006億7900万ドルとなり、前年度比252%増加。全社売上高の76%を占めた。

第4四半期のDRAM売上高は397億7100万ドルで、全社売上高の73%を占めた。前四半期比ではビット出荷量が1桁台半ばの伸びとなったほか、平均販売価格は10%台後半上昇した。

NANDの通期売上高は317億8500万ドルで、前年度比274%増。第4四半期の売上高は141億200万ドルとなり、ビット出荷量は前四半期比で約10%、平均販売価格は約30%上昇した。

Micronの1γ DRAMおよび第9世代NANDは、すでに同社の最大生産プロセスとなっており、同社史上最大の生産量へ拡大する見通し。次世代DRAMおよびNANDプロセスについても、2027年下半期の量産開始を予定している。

HBM4の立ち上げを進め、NVIDIAとNVHBMを開発

  • HBM4やNVHBM データセンターSSDを展開するMicron TechnologyのAIデータセンター事業

    MicronのAIデータセンター向けメモリおよびストレージ事業の概要。2027年のHBM供給量の大部分について契約を完了したほか、NVIDIAとカスタムHBM4E「NVHBM」を開発。2026会計年度第4四半期のデータセンターSSD売上高は約100億ドルとなり、前年同期の10倍超へ拡大した (出所:Micron Technology)

HBMの第4四半期売上高は、全社売上高を上回るペースで成長した。Micronは複数顧客向けにHBMの出荷を拡大しており、2027年に供給するHBMのビット数量について、大部分の契約を完了したという。

2027年向けの契約価格は前年比で大幅に上昇しており、HBMと従来型DRAMの粗利益率の差は縮小しているとする。

同社はHBM4の量産立ち上げを進めるほか、NVIDIAと共同でカスタムHBM4E「NVHBM」を開発している。NVHBMは次世代GPUや「NVLink Fusion」プラットフォームへの採用を予定している。

NANDでは、AI推論時に使用するKVキャッシュをSSDへ退避する用途や、HDDからSSDへの置き換えが市場拡大につながっている。

第4四半期のデータセンターSSD売上高は約100億ドルとなり、前年同期の10倍以上へ拡大。全社NAND売上高の3分の2以上を占めた。2026年はデータセンターSSDで5年連続となる過去最高の市場シェアを達成する見通しである。

26件の長期供給契約で2030年までの需要を可視化

  • 2030年以降の需要を可視化するMicron Technologyの戦略的顧客契約

    Micronの戦略的顧客契約の締結状況。複数年のテイク・オア・ペイ方式による契約を26件締結しており、2030年までの売上高の35%超を占める見通し。顧客による財務的コミットメントは計320億ドルに拡大した (出所:Micron Technology)

Micronは顧客との戦略的供給契約(SCA)を拡大しており、締結済みの契約は26件となった。

SCAは複数年のテイク・オア・ペイ契約で、顧客は契約数量を引き取るか、未購入分について支払い義務を負う。Micronにとっては長期的な需要と供給計画を把握しやすくなる一方、顧客はメモリやストレージの供給枠を確保できる。

締結済みSCAに基づく売上高は、2030年までのMicronの売上高の35%超を占める見通し。このうち4分の3には価格設定の枠組みがあり、その大半には価格の上限と下限が設定されている。

契約期間を2031年まで延長するSCAも締結しており、26件の契約および延長契約に伴う顧客の財務的コミットメントは320億ドルへ増加した。その大半は現金による預託となる。

価格体系が確定しているSCAに基づく残存履行義務(RPO)は約1500億ドルで、契約数量と最低価格を基に算出しているため、実際の売上高はRPOを上回ると見込んでいる。

広島のDRAM新工場は2028年末の出荷開始を計画

  • Micron Technologyが進める広島 台湾 シンガポールでの生産能力拡張

    Micronの日本、台湾、シンガポールにおける生産能力拡張計画。広島工場のDRAM製造棟拡張は2028年末、台湾の銅鑼工場は2027年半ば、シンガポールのHBM先端パッケージング拠点は2027年初頭の初期出荷を予定する (出所:Micron Technology)

Micronは、2027~2028年のDRAMおよびNANDについて、供給能力が需要を下回る状態が続くと予想している。

2027年と2028年のDRAM業界全体のビット出荷量は1桁台前半ではなく、20%台前半の成長を見込む一方、HBMのビット出荷量は2028年まで従来型DRAMを上回る成長を続けると予測する。

NAND業界全体のビット出荷量は、2027年と2028年に20%台半ばで成長するものの、両年とも供給制約が続く見通しである。

こうした需要に対応するため、Micronは米国、日本、台湾、シンガポールで製造能力を拡大する。

日本でも広島工場のDRAM製造棟拡張に向けた起工式が2026年7月に開催され、2028年末の初期出荷を計画。また台湾の銅鑼工場では2027年半ばから本格的な製品出荷を開始する予定である。

シンガポールのHBM先端パッケージング拠点では、クリーンルームの整備が計画を上回って進んでおり、2027年初頭に生産を開始する見通し。新たなNAND工場も2028年下半期の出荷開始を予定する。

米国では、アイダホ州のID1工場が2027年半ば、ID2工場が2028年末にウェハ出荷を開始する予定。ニューヨーク州で建設を進める最初の工場についても、2030年の初期ウェハ出荷を計画している。

2027年度の設備投資を従来計画から引き上げ

  • DRAMの供給制約を背景に設備投資を引き上げるMicron Technologyの市場見通し

    Micronによるメモリ市場と設備投資の見通し。DRAMの需要と供給の成長率には構造的な差があり、需給が均衡する時期は見通せないと説明。2027会計年度は従来計画から設備投資を引き上げ、2028年末以降に利用するクリーンルームの整備を前倒しする (出所:Micron Technology)

2026会計年度の設備投資額は273億6700万ドルで、前年度の138億400万ドルから約2倍に拡大した。

MicronはDRAMの需要と供給の構造的な差を縮小するには、プロセス移行による生産性向上だけでなく、クリーンルームの追加が必要になるとみている。

顧客から追加の供給要請が続いているほか、SCAによって2030年以降の需要に対する可視性が高まったことから、2027会計年度の設備投資を従来計画から引き上げる。

増額分の大半は建設投資で、2028年末以降に利用可能となるクリーンルームの整備を前倒しする。既存クリーンルームの生産効率を高めるため、一部の製造装置投資についても前倒しする方針である。

2027会計年度第1四半期の設備投資額は約115億ドル、上期では約250億ドルを見込む。下期の設備投資額は上期を上回る予定としている。

2027年度第1四半期は売上高615億ドルを予想

  • Micron Technologyの2027会計年度第1四半期業績予想

    Micronの2027会計年度第1四半期業績予想。Non-GAAPベースの売上高は615億ドル±15億ドル、粗利益率は約86.25%、希薄化後1株当たり利益は38.15ドルプラスマイナス1ドルを見込む (出所:Micron Technology)

Micronは2027会計年度第1四半期について、売上高を615億ドル±15億ドルと予想する。

Non-GAAPベースの粗利益率は約86.25%、営業費用は約20億6000万ドル、希薄化後EPSは38.15ドル±1.00ドルを見込む。

2027会計年度については、四半期ごとに過去最高の売上高を更新する見通しで、2026会計年度を上回る通期業績を予想する。

また、研究開発費や従業員向けインセンティブの増加を中心に、2027会計年度の営業費用は約25億ドル増加する見込みである。

Micronは、AIデータセンター向けのHBM、サーバメモリ、SOCAMM、データセンターSSDを成長の中核としながら、AI PCやスマートフォン、車載、ヒューマノイドロボットなどへメモリとストレージの供給を拡大する。

長期供給契約によって需要に対する可視性を高め、世界各地でクリーンルームや先端パッケージング能力を増強することで、2027年以降も続くメモリ供給制約とAI需要へ対応していくとしている。